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2006年06月30日
『森鴎外集』の目次確定……というわけで目下〈文豪怪談傑作選〉に専念中なのですが、このほど『森鴎外集』の解説を書きあげ、というよりもエイヤっとばかり圧縮(収録作品を詰め込みすぎて解説の紙幅がなくなってしまったのである、とほほほほ)しましたので、同集の目次立てを発表させていただきます。
『文豪怪談傑作選 森鴎外集 鼠坂』
常談(ファルケ)
正体(フォルメラー)
佐橋甚五郎
二髑髏(ミョリスヒョッフェル)
魔睡
負けたる人(ショルツ)
金毘羅
刺絡(シュトローブル)
鼠坂
破落戸の昇天(モルナール)
蛇
忘れて来たシルクハット(ダンセイニ)
影/影と形(煤煙の序に代うる対話)
心中
己の葬(エーヴェルス)
不思議な鏡
分身(ハイネ)
百物語
「我百首」より二十五首
「百物語」関連資料
『依田学海日記』より
『墨水別墅雑録』より(付「鬼趣行」)
『鶯亭金升日記』より
『東京朝日新聞』より
ごらんのとおり、創作と翻訳を交互に配するという異例の編成となりました。これは今まであまり指摘する方がなかったように思うのですが、鴎外が怪談創作に傾倒した時期と、泰西怪奇小説の翻訳を手がけた時期とは、見事に重なり合っているわけです。そのあたりの醍醐味と、ただならぬ凄味を、たっぷりと味わっていただけるのではないかと思います。マニアな方には巻末付録の「百物語」関連資料集、とりわけ「鬼趣行」を含む『墨水別墅雑録』がお愉しみ(!?)でしょうか。
ひさびさに鴎外をまとめて読みましたが、つくづくとんでもない作家ですな。「言文一致の創生期にかくまで完璧で典雅な現代日本語を創り上げてしまったその天才を称揚すべきなのだ。どんな時代になろうと、文学が、気品乃至(ないし)品格という点から評価されるべきなら、鴎外はおそらく近代一の気品の高い芸術家であり、その作品には、量的には大作はないが、その集積は、純良な檜のみで築かれた建築のように、一つの建築的精華なのだ」という三島由紀夫の言葉を更めて噛みしめた次第。
ついでに、右に続く部分も、面白いので引用しておきましょう。
「現在われわれの身のまわりにある、粗雑な、ゴミゴミした、無神経な、冗長な、甘い、フニャフニャした、下卑た、不透明な、文章の氾濫に、若い世代もいつかは愛想を尽かし、見るのもイヤになる時が来るにちがいない。人間の趣味(グウ)は、どんな人でも、必ず洗煉へ向って進むものだからだ。そのとき彼らは鴎外の美を再発見し、「カッコいい」とは正しくこのことだと悟るにちがいない。」
いやはや三島が見たら、それこそもう一度憤然として割腹しかねないような嘆かわしき現状ではありますが、せめて本書が、若い世代の「カッコいい鴎外」再発見に、少しでも寄与するところがあるならば幸いです。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月30日 17:39 | コメント (1) | トラックバック (0)
〈文豪怪談傑作選〉ラインナップ正式発表 ちくま文庫から7月より4ヶ月連続刊行されます〈文豪怪談傑作選〉――すでに第一弾の『川端康成集 片腕』は無事に校了、来月13日の発売を待つばかりとなっております。
そしてこのほど、第三弾に予定していた『吉屋信子集 生霊』について、著作権継承者の方から御快諾をいただくことができましたので、正式に全4巻のラインナップを公表させていただきます。
『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』7月発売
『文豪怪談傑作選 森 鴎外集 鼠坂』8月発売
『文豪怪談傑作選 吉屋信子集 生霊』9月発売
『文豪怪談傑作選 泉 鏡花集 黒壁』10月発売
この企画、前々から温めていたものだったのですが、おりしも怪談文芸興隆の気運高まる今年、ちくま文庫という絶好のステージを得て、具体化のはこびとなりました。たちどころにリストアップされた50人近い候補作家の中から、第1陣4冊に誰を持ってくるべきか……担当のKさんの御意見もうかがいながら勘案の結果、上記の4作家に決した次第です。以下に企画趣意書からの抜粋を掲げておきます。よろしく御支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
文学の極意は怪談にあり(佐藤春夫)――古今の文豪たちは、好んで怪談、怪奇小説に筆を染め、多くの名作を生みだしてきた。たとえば夏目漱石「夢十夜」、森鴎外「鼠坂」、幸田露伴「幻談」、泉鏡花「草迷宮」から、佐藤春夫「化物屋敷」、谷崎潤一郎「人面疽」、川端康成「片腕」、三島由紀夫「仲間」等々にいたるまで、この分野の名作選集に欠かせないアンソロジー・ピースの多くは、名だたる文豪の手になるものであった。優れた怪談には、往々にして「人生の最奥の真実」が暗示されており、それゆえにこそ作中に描かれる怪異も迫真の鬼気を帯びて、読者を心底ふるえあがらせるのであろう。畢竟、怪談を究めることと文学を究めることとは、いずれが先でいずれが後とも定めがたい営為なのであり、後者において顕著な業績を遺したことで「文豪」と呼ばれる作家たちの多くが、同時に「怪談の匠(たくみ)」たりえてもいることは、当然の帰結なのであった。それら巨匠(マイスター)たちが遺した怪談文芸の名作群を、一巻本作家選集の形で集成することにより、極上の「恐怖する醍醐味」と、怪談という切り口を通じて浮かびあがる「文豪の文豪たる真髄」を、もろともに満喫していただこうというのが、本シリーズの目論見である。
筑摩書房 (2006.7.10)
この本は現在お取り扱いできません。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月30日 16:55 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月28日
会心の一冊 角川ホラー文庫版『黒髪に恨みは深く』の見本が到着しました。
アンソロジーというものは、雑誌の特集と同じように、なかなか当初の構想どおりには出来上がらないものなのですが、本書に関しては、ラインナップはもとより、装幀面も含めた細部にいたるまで、かくあらまほしきイメージどおりの本にすることができました。
口はばったいようですが、「会心の出来」と申しあげてよろしいかと思います。
もちろん、これはひとえに、収録作家の皆さま並びに著作権継承者の方々をはじめ、本づくりに携わった総ての関係者の御協力の賜物であります。とりわけ、編集実務全般にわたり細やかな目配りと粘り強い頑張りを発揮してくれた担当編集者の榎本さんと、小生の思いつきを素晴らしいヴィジュアル・イメージに仕上げてくれた角川書店装幀室の大武さんには、本当にお世話になりました。心からなる感謝を捧げます。
7月10日の発売まで、今しばらくお待ちくださいませ。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月28日 19:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
【再掲】読者が選ぶ赤江瀑短篇ベスト・オヴ・ベスト先にアップしました下記の公募企画、出足がさっぱりだったので危惧していたのですが(しくしく)、ここへ来て赤江愛(!?)に満ちた熱烈投稿が相次いでおります! 投稿締切を今月末と申しあげましたが、社会人には週末が重要、との御指摘を容れて、7月2日まで締切延長することにしました。ふるって御投稿をお待ち申しあげております(投稿はここのコメント欄か元エントリーのコメント欄にお願いします)。
さて、〈幻妖匣〉では毎回、このブログを利用した読者参加企画を下記の要領にて実施することに致しました。題して――「読者が選ぶ赤江瀑短篇ベスト・オヴ・ベスト」
・赤江瀑氏の膨大な短篇作品の中から、「この作品だけは絶対に外せない」もしくは「この作品をぜひ復刻再録してほしい」というリクエストを、このエントリーのコメント欄にお寄せください。
・投稿内容は上記の「マイベスト作品」「復刻希望作品」のうちどちらか一方でも、両方でもかまいません(元エントリーのコメント欄を参考にしてください)。
・書式は、最初に作品名、改行して簡単な(長大な、でも可)コメント、という形でお願いします。
・賞品発送の連絡時に必要なのでメールアドレスは必須。ただしブログの表にはメールアドレスは一切出しませんので、御安心ください。お名前はハンドルでもかまいません。
・お寄せいただいたリクエストの中から、特に多くの票を集めた作品、および編者(=ヒガシ)の印象に残ったコメントの作品を数篇、『幻妖匣』に収録させていただきます。
・御応募いただいた方の中から抽選で3名の方に、刊行時に著者サイン本をプレゼント致します。
↑赤江氏の墨跡麗しきサイン本を入手できる、またとないチャンス!
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月28日 10:45 | コメント (2) | トラックバック (0)
タクシー怪談と優霊物語と 『小説推理』8月号が到着しました。今月の〈幻想と怪奇〉時評は、ちくま文庫版『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』発刊を記念した(!?)新作「タクシー怪談」縛りを決行(笑)。
どういうことかと言いますと、川端の戦後の短篇で「無言」という、逗子〜鎌倉間にある有名な幽霊トンネルに取材した、けっこうディープな「実話怪談小説」(笑)があるわけです。で、なぜか今月は、クリトファー・ファウラー『白昼の闇』および森山東『デス・ネイル』という東西の両精鋭による短篇集の中に、偶然にもタクシー怪談の好篇が含まれていた、という。いや、それだけなんですがね。どちらも、現代的なセンスの冴えを感じさせる、充実した内容の短篇集です。ほかに桐生祐狩の長篇『川を覆う闇』について、ちょっとだけ触れております。「邪悪な天沢退二郎」とかなんとか。
双葉社さんからは、もう一冊。浅田次郎の短篇集『あやし うらめし あな かなし』の見本も到着。帯をひとめ見るなり、卒倒しそうになりました。
「七つの優霊物語(ジェントル・ゴースト・ストーリー)」というのは、お察しのとおり、小生が推薦文の文案の一例として推奨しといたフレーズなのですが、ままま、まさかこれをメインに持ってくるとは! やるなあ、双葉社!
すでにビーケーワンでも24時間出荷になっておりますが、この短篇集、推薦文にも書きましたように、本当によく出来たホラー・ジャパネスク小説集なので、そちら系がお好きな方はくれぐれもお見のがしなく。特に巻頭の「赤い絆」と巻末の「お狐様の話」は、三峯山ファンは必読だ!(作品の舞台になっているのは、三峯山ではない別の関東の山岳霊場らしいのですが、小生にとっては他人事ではない臨場感に圧倒されました)
東京創元社 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月28日 02:27 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月27日
つながる幻視 絵本作家としても著名な上野紀子さんのファンタジックな油彩画に、仏文学者の巖谷國士さんが物語を書き下ろして成った大判の絵本『扉の国のチコ』(中江嘉男・構成)は、黒一色に望遠鏡があしらわれたフロント・ページに「瀧口修造に捧ぐ」の一句が掲げられている。
そう、本書はたんなる「アリス」タイプのワンダーランド往還絵本ではなく、不世出のシュルレアリスト瀧口修造と、それぞれに不思議な奇縁で結ばれた人々の思いが美しく結晶して成った、記念碑のごとき書物なのである。
黒い帽子を目深にかぶり、小さな望遠鏡を手にした少女チコに導かれるようにして、読者は〈扉の国〉と名づけられた懐かしい記憶の迷路へと足を踏み入れることになる。
森を思わせるオリーブの大樹が緑陰をひろげる庭、オブジェたちが愉しげに語らう書斎――チコとともに画面の中へと入り込み、自分もまたその点景になってしまいたくなるような魅惑の光景が、ページを繰るごとに展覧されてゆく。
終わり近くには、瀧口の謎めいた詩「遺言」の全文が、そのまま地の文に融合されてもいる。
そして最後の一葉――青空の下にひろがる緑の地平に点々とたたずむ人々。デュシャンがいる、ブルトンがいる……サングラスで決めた、いなせな立ち姿は、もちろんシブサワさんだ!
ポプラ社 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月27日 13:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月25日
新耳袋コレクション 先に言及した恩田陸編『新耳袋コレクション』のカバー書影が到着しました。
デザインはもちろん「第四の耳男」ともいうべき(!?)装幀家の祖父江慎さんです。
いやー(笑)、これのどこが怪談本なのよ!? という意表を突くデザインですが、べつにことさら奇を衒っているわけではありません。
すでにロングセラーと化している単行本版、そして角川文庫版と、〈新耳袋〉シリーズが既存の怪談ファンには十二分に普及浸透しているという現状を踏まえて、新たなる読者層の開拓に乗りだそうとする〈新耳袋コレクション〉の企画意図を忠実に反映したものとなっているように思われます。
恩田陸さんによるセレクションも、まことに絶妙で個性的、章ごとに挿入されたエッセイも非常に興味深い示唆を与えるものとなっています。
その意味ではとっくに全十巻を書架に備えていらっしゃる怪談マニア諸賢にも、斬新な衝撃をもたらすのではないでしょうか。7月7日の発売に際しては、ぜひチェックしてみていただきたく……。
そうそう、ちなみに来月発売の『ダ・ヴィンチ』怪談特集には、新耳コンビが、それぞれソロで新作怪談を寄稿。ほかに小池壮彦、安曇潤平の新作や加門七海&伊藤耳華、じゃなかった三巳華の対談も掲載されておりますぞ。
角川書店 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月25日 01:21 | コメント (1) | トラックバック (0)
2006年06月20日
オワスレモノvsオトシモノ!? 福澤さん絡みの話題を、もうひとつ。
『黒髪に恨みは深く』の打ち合わせで角川書店におもむいた際、受付横に並べられた映画のチラシに目がいった。その名も『オトシモノ』という新作ホラー映画(古澤健監督/沢尻エリカ主演/9月公開予定)のチラシで、担当E嬢@太っ腹ニアラズを待つあいだ何の気なしに眺めていたら、「ノベライゼーション 福澤徹三 角川ホラー文庫刊」と書かれているのを発見して、思わずのけぞった。映画の内容は、駅のホームで死者の「オトシモノ」を拾ってしまった人々が、次々と怪異現象に巻き込まれてゆく物語だそうで、主人公は女子高生……なるほど『壊れるもの』の作者による初ノベライズは、大いに期待できそうである。
のけぞってしまった理由が、もうひとつあった。
タイトルが『オトシモノ』で、鉄道の駅が舞台の怪異譚といえば……そう、誰しも連想するのが、加門七海さんの最新短篇集『オワスレモノ』の表題作だろう。響鬼本の打ち合わせの際、加門さんにこの情報をお伝えしたところ……「ふうーん、聞いてないわよ〜」とのことであった(笑)。
ちなみに福澤さんと加門さんといえば、御存知のとおり、ビーケーワン怪談大賞の両選者でもある。昨年にも増して、早くも充実した投稿作品が寄せられつつある同賞の選考会議が、別の意味でも、ますます楽しみになってきたではないか!?
……と、ここまで書いて、書影リンクを貼り付ける作業をしていて、ハタと気がついた。下の『オワスレモノ』の書影と福澤さんの『ピースサイン』の書影を見較べてみていただきたい。なんとな〜く雰囲気が似ているとは思いませんか? 気になったので、双葉社の担当Hさん@響鬼好きに確認してみたところ、やはり同じデザイナーさんの手になるものと判明した。しかも、『ピースサイン』の制作をめぐっては、なにやら怪談めく不可解な出来事が頻発しているそうなので、こちらについては追って詳しくリポートしたいと思っている。
いやあ、ホントに怪談の話題って、連鎖するもんですねえ(笑)。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月20日 08:26 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月19日
徹三の夏、怪談文芸の夏 「テツの百物語」と聞いて、思わず福澤徹三さんの御尊顔を連想した貴方は、なかなかの怪談マニアかと(笑)。『幽』今号では、好評の連載だけでなく、第二特集「実話と創作のあいだに」で、好敵手・平山夢明さんと突っ込んだ内容の対談をこなし、さらには「取材原稿を作品に昇華する――福澤徹三の場合」では、取材時の素材を福澤さんが作品化する過程が、具体例を挙げて紹介されています。
そんな福澤さんの最新短篇集『ピースサイン』のカバーデザインが到着しましたので、お披露目しましょう。
ううーむ、いかにも実話テイスト漂う、イイ感じのデザインではないですか。しかも帯の裏には「これぞ怪談文芸の決定版!」という頼もしい文字が躍っております(笑)。「ピースサイン」「嗤う男」「夏の収束」「憑かれたひと」「帰郷」「狂界」「真実の鏡」の全7篇を収録。双葉社での前作『廃屋の幽霊』(こちらも8月に文庫化予定とか。解説は平山夢明とか!)に較べて、よりいっそう怪談実話色が濃厚に打ち出されている模様ゆえ、実話ファンもお見のがしなく。
ただいまビーケーワンにて、特典付き予約受付中です。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月19日 17:54 | コメント (0) | トラックバック (0)
『幽』第5号、発売です! 怪談の夏のおとずれを告げる『幽』最新号、先ほどビーケーワンでは「24時間以内出荷」に表示が切り替わりました。
今号も話題満載。猫好きな方はもちろん、そうでない方にも、きっと御満足いただける内容ではないかと自負しております。
特に鉄道マニアの方は、要注目。有栖川有栖さんの短篇連作、今回はその名も「テツの百物語」――要するに鉄道オタク、通称「テッちゃん」たちが一夜参集して、鉄道がらみの百物語に興じるというワクワクするような趣向となっております。
しかも、恐怖のシンクロニシティは今号も健在でして、同篇に含まれる2篇の踏切話と相呼応するかのように、小野不由美さんの〈鬼談草紙〉に「踏切地蔵」、福澤徹三さんの〈続・怪を訊く日々〉に「踏切の少年」と、奇しくも「踏切怪談」の逸品が同時多発する巡り合わせとなりました。読み比べてみると、また格別の味わいが……これまた怪談専門誌ならではの醍醐味ではないかと思っております。
ビーケーワンで御購入くださった方には、下記の豪華(!?)特典が付きますので、何卒よろしく!
【ビーケーワン購入特典】
「『幽』05秘密メルマガ増刊号」
・「猫島の猫たち大行進」特設フォトギャラリー
・宵闇の墓地にて――怪談巡礼団こぼれ話(東雅夫+加門七海)
・編集スタッフによる描き下ろしコミック
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月19日 17:18 | コメント (3) | トラックバック (0)
2006年06月18日
『幽』怪談文学賞の選考スケジュールについて メディアファクトリーの編集部に出向いたもうひとつの目的は、『幽』怪談文学賞の選考スケジュール打ち合わせである。
気になる応募者もいらっしゃるだろうから、今後の概略をお知らせしておくことにしたい。
まず、短編部門については、一次選考委員12名による最初の選考作業が6月末までに終了。
この結果を受けて、7月上旬に編集部内での短編部門予備選考会が開催され、最終候補作品を決定。選考結果は、8月上旬発売の『ダ・ヴィンチ』に掲載予定。
その後、長編部門の応募締切(8月10日。まだまだ時間はあります! ふるっての御応募をお待ちしております!!!)を受けて、8月末までに長編作品の一次選考作業を終了(ただし長編に関しては、応募総数が予想を大きく越えた場合、スケジュール変更の可能性あり)。
長編部門予備選考会は9月上旬の予定。選考結果発表は、10月上旬発売の『ダ・ヴィンチ』誌上にて。
以上の結果を受けて、最終選考委員6名による本選考会(長編・短編部門とも)を11月中旬に開催。選考結果は『幽』第6号(12月中旬発売)にて発表予定。
以上のように決定しました。
なお、完遂できるかちょっと心許ないのですが(笑)、小生は『幽』編集長としての立場から、御応募いただいた作品すべてに、出来るかぎり目を通したうえで、予備選考会に臨みたいと思っています。
メディアファクトリーダ・ヴィンチ編集部 (2006.2)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月18日 03:46 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月17日
『幽』第5号、見本完成!『幽』見本の早出し分が届くというので、夕刻よりメディアファクトリーの編集部へ出向いてチェック。
↑ガメラのリュックは今号の内容とは関係ありません。
亀特集ではなく、猫特集です。
巻頭グラビアを開いて、思わず溜め息。表2に刷られた夜桜と、グラビア表紙の黒猫ちゃんの対比が、まさに麗しくも妖しい怪談情緒を醸し出しているではないか!
うう〜む……編集長が自分で云ってもしょーがないけど(笑)、綺麗に仕上がりましたねえ。
アート・ディレクションの祖父江慎さん、デザイナーの梅津佳子さん、そして凸版印刷スタッフの皆さまのお仕事ぶりに感謝、です。
ちなみに、表2を飾った夜桜の写真は、猫島で撮られたものではなく、帰りがけに立ち寄った雄勝の古刹・天雄寺の山門近くで撮影されたものです。
このときの話は今号には一切登場しないのですが、実は怪談的にいちばんヤバかったのは、この天雄寺の墓地でのこと。そもそも、このお寺さんは、松谷みよ子さんの名著『あの世からのことづて』にも登場し、本誌4号の松谷さんインタビューの中でも言及されていた、有名な怪談スポットなのでした。海難事故の前に、必ず火の玉が墓地へと向かうのが目撃される……というフォークロアの舞台、といえば、それと思い出される方もありましょう。
せっかく近くまで来たのだからと、立ち寄ることにしたのですが……猫島取材が押せ押せになった関係で、天雄寺に到着したのは日没間際。すでに非常警戒態勢バリバリで、ともすれば後退りしようとする某女性作家(笑)。
……これより先の顛末は、『幽』5号のビーケーワン購入特典「幽05秘密メルマガ臨増号」にて!
↑宵闇せまる天雄寺の山門。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月17日 16:36 | コメント (0) | トラックバック (0)
ダブルで校了目前 夕刻より菊川の珈琲館で、筑摩書房のKさんと打ち合わせ。ちくま文庫版『文豪怪談傑作選 森鴎外集 鼠坂』の初校ゲラを受け取る。金井田さんの表紙画ラフ(メインのイメージは「鼠坂」)が早くも上がっていて拝見したが、とても良い感じであったことよ(嬉)。
こちらからは『鴎外集』に続く、噂の!?『Y・N集』の目次素案を、お渡しする(四ヶ月連続刊行はさすがに忙しいのだ)。Kさんも「この巻が特に愉しみなんです!」とのこと。小生もあらためて通覧してみて、Y・Nの凄味を再認識させられた次第。思わず調子に乗って、規定枚数の倍近い数の作品を候補に残してしまい、これから詳細な字数計算をおこなうKさんには申しわけない限り。その後には非情な取捨選択作業が待っている……いや、その反面、とっても生き甲斐を感じるひとときでもあるんだけどね(笑)。
打ち合わせを終えて、世間話に興じているところへ、角川ホラー文庫担当のEさんが到着。KさんEさんは初対面なので、ひとしきり「はじめまして」「おたがいに頑張りましょう!」という美しきエールの交換がおこなわれる。
こちらはまさに翌朝が校了最終便とのことで、直前までチェックしていた『黒髪に恨みは深く』の再校ゲラを、耳をそろえてお返しする。
↑右が口絵、左がカバー。
カバーと口絵の色校も上がっていたので、見せていただく。上村松園の「焔」は、デザインの都合で、カバーには部分使用となってしまったため、口絵のほうで、その素晴らしい全容をお見せすることにしたのだ。口絵一枚入れていただくだけでも(よ、E嬢の太っ腹! ←微妙に誤解をまねく表現である)、なんだかとっても贅沢をした気分に浸れる、つましいワタクシであった。
『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』は7月10日、『黒髪に恨みは深く――髪の毛ホラー傑作選』は7月13日に、それぞれ発売となります。
↑Kさん担当の本
↑Eさんから頂戴した本。
ちなみに今度のガメラ、小生はそれなりに頑張っていたと評価しています。
ガメラ・リュックも買いましたが使う勇気がありません……。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月17日 13:58 | コメント (0) | トラックバック (0)
『ゴシックハート』が三刷! 『幽』では怪談文芸エッセイを連載中の高原英理さんの『ゴシックハート』が、このほど三刷決定したそうです。
御本人は「増刷といっても、ほんのちょっとですから……」と謙遜してましたが、まともな文芸評論書が、売れないどころか、なかなか出版さえしてもらえない状況下で、二度三度と増刷がかかるというのは快挙と申せましょう。
澁澤龍彦没後二十年を迎える来年へ向けて、ドラコニア・チルドレン世代を語るうえで必読の書でもあります。未読の向きは、この機会に是非!
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月17日 00:25 | コメント (5) | トラックバック (0)
2006年06月15日
霊感美女対談+響鬼莫迦対談 夕刻より神田須田町の甘味処「竹むら」にて、加門七海さんと伊藤三己華さんの対談を収録。こちらは『幽』ではなくて『ダ・ヴィンチ』来月号の怪談特集に掲載されます。
場所が「響鬼」ゆかりの「竹むら」になったのは、加門さんの要請でも小生の圧力でもなく、担当編集者Mくんの「死ぬまでに一度は二階座敷に上がってみたい!」という個人的関心に発するものらしい(笑)。
↑風情ある「竹むら」の二階座敷で。
『幽』誌上におけるそれぞれの連載からも一目瞭然なとおり、こと怪しいモノを「視る」体験に関しては年季の入ったおふたりだけに、われわれギャラリーにとっては想像を絶する(!?)話題がポンポン飛びだして、アッという間の二時間であった。伊藤さんから壮絶な大ネタも披露されたのだけれど、ちょっと公開には時期尚早のようで残念。一方の加門さんからは、当日の数時間前までリアルタイム継続中だという彰義隊ネタなどを。やはり視える方の場合、いろいろと御苦労が多いようですなあ。
近くの老舗鳥すき屋で夕食後、「竹むら」ならぬカフェ・ド・クリエで、加門さんと響鬼探究本の打ち合わせを兼ねた「共編者対談」を収録(はからずも対談のダブルヘッダーとなった加門さんには、まことにお疲れさまでした……)。
当初の予定では今頃刊行されているはずだった響鬼本だが(汗)、ようやくこれから本腰を入れて着手できる運びとなった。遅延の理由は、一にも二にも小生の多忙ゆえ。ただ「響鬼」をめぐる状況も、さすがに放送終了から半年を経て、それなりに落ち着いてきているようなので、むしろ結果オーライなのかもしれない。ま、そもそも焦って出すような企画の本じゃないし(笑)。今回の対談を踏まえて、近くこのブログでも具体的なアクションを起こしてゆきますので、29話までの「響鬼」をこよなく愛する皆さま、よろしく御注目のほどを。
朝日ソノラマ (2006.1)
通常2-3日以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月15日 23:53 | コメント (6) | トラックバック (0)
黒髪といえば…… いま故あって、吉屋信子の著作を片っ端から渉猟しているのですが、信子の愛馬の名前は、なんと「黒髪」というのでした(笑)。
信子はなかなかのギャンブラーだったようで――その一端は、競輪にハマって転落する男が怪異に見舞われる短篇「茶碗(わんは別字)」にも明らかですが――戦後の一時期、競馬にたいそう入れ込み、ついにはみずから馬主となっているのですね。エッセイ「馬と私」(ダヴィッド社版『白いハンケチ』所収)より、ちょっとだけ引用しておきましょう。
さて、私の愛馬(黒髪)には、名騎手中村広さんが乗ってくれる事になっているし、この秋のシーズンに機会を得て初出走する。
願わくばたてがみを黒髪の如くなびかせてともかくもよい成績をあげることを、厩舎へ行くたびに、黒髪の頬を撫でながら思っている。ところが、この黒髪女史、時々扁桃腺を腫らして熱を出したりするので、その度に馬主の肝は冷えるのである……。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月15日 01:32 | コメント (2) | トラックバック (0)
『幽』5号は猫猫(めうめう)な顔!?いよいよ今月20日の発売までカウントダウンに入った『幽』第5号の表紙が完成しました!
今号は第一特集「猫の怪」にちなんで、MOTOKOさんが田代島で撮影した写真を使用しています。なかなか良い面がまえのにゃんこでしょ?
ちなみに、大好評の『猫路地』特典ギャラリーに続いて、ビーケーワンで『幽』5号を御予約・御購入いただいた方への特典として「猫島の猫たち大行進」ギャラリーを準備中です。グラビアや特集中にも、たくさん猫写真は載せたのですが、取材班が撮りまくった写真の量はハンパじゃないのです(笑)。せっかくの機会なので、大放出したいと思っておりますので、御期待ください。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月15日 01:10 | コメント (1) | トラックバック (0)
2006年06月14日
いま時代は「黒髪ホラー」へ!? 角川ホラー文庫版『黒髪に恨みは深く』の担当編集者E嬢@自称二十歳から、戦慄の緊急報告が!
なななななな、なんと、下記のごときアトラクションが、東京ドームシティで予定されているというのです……。
◇夏期限定ホラーハウス『呪いの黒髪屋敷』登場
開催期間:2006年7月15日(土)〜9月18日(祝)の期間 毎夕16:00〜22:00(15:00までは通常の『ザ・13ドアーズ』として営業)
料金:800円(3歳以上)ライドフリーでの利用可 所要時間:約10分 全長約200m
後楽園ゆうえんち時代から、毎年夏の恒例イベントとなっている夏期限定ホラーハウス。今年のテーマは≪髪の毛≫です。「ドアノブの絡みついている見知らぬ髪の毛」「長い髪の毛を前にたらしてたたずむ女性」など、怖い話にはしばしば≪髪の毛≫というモチーフが登場します。今年は、この≪髪の毛≫にモチーフをあてて、入場者を恐怖の底へと導きます。
入場者は入口で1本の≪櫛(くし)≫を手渡されます。その櫛で、この屋敷のどこかに潜んでいる女の長い髪を梳かして来なくてはなりません。けれども、その女性はたった今その屋敷を血まみれの現場に変えた女その人なのです。
7月15日といえば、そう、恐るべきことに『黒髪に恨みは深く』の発売日とほぼ同時ではないですか!
こんな偶然、事前にプロデュースしようとしたって(担当E嬢は、小生の仕掛けではないかと疑っているようでしたが/笑)、できるこっちゃありません。
園子温監督の髪の毛ホラー映画『エクステ』のシンクロニシティにも驚かされましたが、これは本当に「黒髪回帰」ならぬ「黒髪怪奇」の時代が到来するのでありましょうか?(笑)
しかし……こんなマニアックなお化け屋敷のアイディア、一体どんな人が考えたのだろう(取材したいぞ)。
↑帯なしの書影は、こんな感じ。
表紙画は上村松園の名作「焔」より。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月14日 05:04 | コメント (3) | トラックバック (0)
妖怪仕掛け本『こっそり どこかに』の記事をご覧になったポプラ社の斉藤さん@八本脚の蝶から、「こういう本も取り扱い品目に入りますか?」というコメント付きで、こんな愉快な仕掛け絵本を頂戴しました。
ポプラ社 (2006.6)
通常2-3日以内に発送します。
この書影では分かりにくいのですが、開くと楕円形のお面になって、黄色い部分のボタンを押すと、幽霊や鬼や河童の効果音が鳴り響く……という仕掛けです。
論より証拠、版元から御提供いただいた参考写真をご覧くださいませ。
ね、なんだか愉しそうでしょ?
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月14日 04:20 | コメント (0) | トラックバック (0)
『猫路地』ギャラリー完成お待ちかねの『猫路地』購入特典「猫写真ギャラリー」が、このほどビーケーワン・スタッフによる素敵なデザインで完成しました。今日明日にも配信となります。
ネット環境にある寄稿作家有志の皆さまから寄せられた20点の秘蔵猫写真が、味わい深いコメントを添えて展覧されています。長島槇子さんには猫エッセイを一本、特別寄稿していただきました。
御協力を賜りました作家の皆さまに、篤く御礼申しあげます。
どの一枚にも、端倪すべからざる「猫バカ」ぶりが躍如としていて、猫好きな方ならば、思わず見入ってしまうこと確実か、と。ごゆっくり、お愉しみください。
日本出版社 (2006.5)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月14日 03:59 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月11日
『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』は、こんな顔!角川ホラー文庫に負けじと(!?)、ちくま文庫版『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』のカバーデザインも到着。
こちらはいかにも筑摩らしい、カッチリとして瀟洒なデザインにまとまってますね。小生自身、ちくま文庫ファンなので、自分のアンソロジーがその一冊に加わるというのは、とても光栄だし嬉しいことであります。
装画を描きおろしていただいたのは、パロル舎から『冥途』や『猫町』『夢十夜』などの幻想文学絵本を刊行している金井田英津子さん。金井田さんの御作品も、小生は以前から大好きだったので、今回、担当編集者のKさんから「カバー装画を金井田さんにお願いするつもりなのですが……」と聞かされたときには、一も二もなく応諾した次第です。金井田さんもラインナップをご覧になって、「ツボです」とおっしゃってくださったそうで(笑)、続く鴎外集やY・N集(版権交渉前につき伏せ字)や鏡花集でも、どんな世界観を形にしてくださるのか愉しみでなりません。
すでに『森鴎外集 鼠坂』もセレクトを完了し、今は『Y・N集 生霊』のために作品を読み直しているところですが……いやあ、やはりY・Nのストーリーテラーとしての才能は凄まじいものがあるなと再認識しております。鏡花の綺想を、より地に足のついた文体と構成で展開したら、かくもあらん……というような。なんのことやら雲をつかむような話で恐縮ですが(笑)、ひさかたぶりに、巻を置く能わずの感興に浸っていたもので。情報解禁までもうしばらく、お待ちくださいませ。
パロル舎 (1997.11)
通常2-3日以内に発送します。
パロル舎 (1999.3)
通常2-3日以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月11日 18:27 | コメント (2) | トラックバック (0)
稲生平太郎、『アムネジア』を語る! 以前このブログで著者への質問を募りました、稲生平太郎『アムネジア』インタビューが、ようやくまとまりました。
かなり立ち入った質問にもお答えいただいているので必見ですぞ。
――まずは、作品執筆の契機と経緯を教えてください。
稲生 うーん、何か書こうと思ったんでしょうね(笑)。実のところ、最初はあからさまに、誰が読んでも実験的な小説というスタイルを考えていて、二、三年間そういう形で進めたけれど、ある段階でやっぱりこれではダメだろう、と。
――どうしてですか?
稲生 やはり、あからさまに実験的というのは芸がないでしょう(笑)。そういうところが表面には出ていなくて、でも、本質はすこぶる過激というのがいいのではないかと思って、方針を大きく変えました。と同時に、読者に読みやすい形、読んでもらえる形にしたかった。でも、それで、すんなりいったわけじゃなくて、むしろそこからが大変だったんですけどね。
――擱筆まで長期間かかったわけですが、その理由は?
稲生 単純に本業のほうが忙しかったのもあるし、『日影丈吉全集』の編纂解説作業に五年間もとられたりとか(笑)。それとね、小説を書くにはいろんな書き方があるでしょう。たとえばコラージュ的にばらばらに書いていくという執筆方法もあるでしょうし。で、『アムネジア』の場合は、いちおう頭から順を追ってずっと書いてきていたんだけれど、それをつなぐ核心がいったい何なのか自分でもよく分からないという状態が、十数年間のほとんどでしたから。最後のところで、ようやく「ああ、これとこれが繋がってるんだな」と。
――全体が見透せたのは?
稲生 ほんの最近です。これは「不可能な夢」というエッセイ(『ホラー・ジャパネスクの現在』〔青弓社、2005〕収録)にも書きましたけれど、あるレヴェルにおいては自分でコントロールできない状態に作品を運んでいくという方法を採ったために、一時はどうしようもなくなってしまって……。完成をほぼ断念したこともありました。しかし、まあ周囲の励ましというか恫喝のおかげで(笑)、何とか脱稿にまで漕ぎ着けました。それが去年の一月下旬のことでしたが、全体が見透せたというのは本当にその直前だった。
――最後の最後の段階にいたって、やっと見えてきたと。
稲生 そうです。正直にいえば、書き終えてからもしばらくは自分でも半信半疑の状態でしたね。あと、技術の問題も大きかった。眼高手低というか、自分の考えているプランが、技術的に達成できないというのもあったから。なかなかうまくいかなかったですね。
――前作『アクアリウムの夜』との関係性は? また前作との違いは意識されましたか?
稲生 『アクアリウム』の続編という意識は、まったくないんです。僕の場合、何かの続編というのはまずありえない。『アクアリウム』のときも、書いている最中は終わりが見えなかったのですが、あの場合はともかく前進すればいい、というのがあったけれど、今回はそれすら分からなくなってしまって。前進しては後退というのを繰り返して、かなりの量の原稿を破棄もしたし。
――「闇金融」という異色のモチーフを導入部に使われたのは何故ですか?
稲生 複数の理由があるんですけど、ひとつは、お金をめぐる話というのはまず一般性があるでしょう、間口が広い。お金というのは人間の最大の欲望のひとつだから。ただし、欲望が大きい分だけ、お金と幻想とは結びつきやすいものだと思う。金融詐欺事件なんかでも、細部を眺めてみると、規模の大きい事件ほど、周辺部はワケの分からないもので動いてるんですよね。お金だから合理性で動くかというと、そうではなくて、異様な大金が動いた場合には、逆に幻想がからんでる。それがまず一点ですね。この点には前から関心があったので、僕の中では別に異色のモチーフという意識はなかった。
――舞台である大阪の雰囲気にも合っているような。
稲生 その通りです。金融を選んだ理由のもうひとつは、これがステレオタイプの大阪のイメージと合致していて、現実感を喚起する作業がやりやすいから。もちろん、後半部との大きな落差も計算に入れてのことです。
――闇金融の取材なんかもされたんですか?
稲生 参考文献はいくつか読んでますし、見聞きした部分もあるし。
――ああいう雰囲気の喫茶店に、怪しいおっさんたちがたむろしてるというのも、いかにもリアルな光景で(笑)。
稲生 実際、僕がよく行く大阪の喫茶店は、そういう人がいっぱい来てまして(笑)、非常に参考になりましたね。みんな、何もそんなに大きな声で話さなくてもいいじゃないかってぐらい大声で、しかもかなり凄い話をしている。いわゆる、その筋の方も多くて面白かったですね。話の内容は今回の小説とは関係ないんですけど、話し方とか声の調子とかね。そのあたりは結構、反映しているかもしれません。
――特に苦心された点や会心の出来と思われる部分など、教えてください。
稲生 いやー、それは、まあ……こういうのって、意外と読者の思う事と、こちらの思う事が食い違ったり、逆になることが多いんですよね。こちらがぎくしゃくしてうまくいかないな、と思った部分を読者はすごく評価してくれるいっぽうで、こちらが意外とうまくやったと思うところは注目してくれなくて(笑)。ただし、今回でいうと、電器屋に行ってワケの分からない機械を見せられて、いきなり――というシーンなんか、あのへんは「ええーッ!?」とかなり反応してくれた人は多かったみたい。あそこは何回も書き直したし、自分としてもある程度いけてるだろうというのはありましたね。
――「小説推理」の書評では触れませんでしたが、私もあそこのシーンは印象に残りました。あれはホラーとしても出色というか、異様な臨場感があって。「ムー」の取材なんかしてると、似たような状況になることもあるので(笑)。
稲生 あんな風に恐くはなかったけれど、「機械」関係の方とは僕も実際にお会いしたことがあるから。さっきの喫茶店の話もそうですけど、すべてがまったくの作り事というわけじゃないんですよね、ああいう空気、気配みたいなものは実体験として知っている部分があります。
――本書はいたって正統的な「オカルト/都市幻想文学」だと思うのですが、たとえばアーサー・マッケンやチャールズ・ウィリアムズのそれを意識された部分はありますか?
稲生 オカルト小説として読んで当たり前じゃないかって言われたんですけど、僕なんか逆に、「これ、オカルトなのかなあ」って。
――え、そうなんですか? いたって正統的なオカルト文学ではないですか? もちろんマッケンやウィリアムズみたいなものをオカルトと定義するのであれば、ってことですけど。
稲生 東さんは「都市幻想小説」って書かれてるけど、僕自身は都市という要素も執筆中にはあんまり意識してなかったですね。「物語」をめぐる物語というのはあったけれど。
――そうなんですか。たとえばマッケンの描くロンドンの妖しさとか、神秘的なものが常に頭上に揺曳しているような感じ。近いものがある気がしますけどねー。
稲生 でも、マッケンは全然忘れてたし(笑)。
――またまたあ(笑)。
稲生 でも本当にそうなんだよ。東さんはマッケンに肩入れしてるみたいだけど、僕なんか、そんな作家もいたなー、ぐらいのもので。
――やれやれ。注目の次回作は何年後に?(笑)どのような構想を、お考えですか?
稲生 いったい何年後でしょうね(笑)。そもそも、書きたいテーマやシチュエーション、キャラクターなんて何もありませんから。もやもやしたガスみたいなものが頭の片隅で微かに発生しているだけで、でも、それが果たしてかたちになるのかどうかは見当がつきません。
以下は幻妖ブックブログ読者の方からの質問です。
なお、【Q2】及び【Q3】の質問とその答えについては、ネタばれの可能性がありますので、『アムネジア』未読の方はくれぐれも読まれないようにお願いいたします。
【Q1】「みなみ」さんからの質問
紙質に文句をつけた失礼な「みなみ」です。お気に障ったら、申しわけありませんでした……。
読みにくい印刷だ、と感じた一方で、この淡々した版面の視覚的印象は、作品の持ってる現実離れして見定め難い雰囲気と共通するのかもしれない、とも思いました。
そういう効果を狙った装丁・造本なのでしょうか?
稲生 読みにくいですか?
――たしかに(笑)。ちょっと目が疲れますよね、個人差もあるでしょうが……。
稲生 僕はゲラでしか読んでないから分からないや?、って(笑)。
――こういう色インクと光沢紙で刷られることは知らなかった?
稲生 知らない知らない(笑)。
――実際のところ、どうですか?
稲生 版面にはさほど興味ないですね。字が読めればいい、と(笑)。装幀の方がずいぶんと凝ってくださったので、カバー・デザインの完成には手間と時間がかかっています。最終的には赤と銀とふたつの試作案を見せてもらったのですが、それは角川の担当編集者も僕も、銀じゃないほうがいいんじゃないかって。でも、僕は装幀に口を出せるような偉い立場ではありませんし(笑)、すべては編集者の方にお任せしていました。今回はこんな特殊な小説を出してもらうだけでありがたかったので……。
【Q2】中島晶也さんからの質問
自分で考え迷うことこそが醍醐味になる小説だと思うので、作者に質問させていただくとなると、何をお訊きしたらよいのやら迷ってしまいますね。あまり本筋と関係ないような些末なことになってしまうのですけど……。
個人的に、自分が学生のころにうろついていた大阪の町のあちこちが生き生きと描き分けられているのが、非常に懐かしく感じられました。モデルにされた場所を詮索したい気持ちもあるのですけど、それこそ野暮でしょうから我慢することにして、なぜ1982年の大阪なんでしょう?
「それがどんな時代であったか知る必要はおそらくない」と前置きされている一方で、実は舞台がこの時代の大阪であることにかなりのこだわりがあるのかもと感じたのですが。ご出身が大阪であることは存じ上げていますが、最後にばっちり1982年と特定までされていてるのは、何か理由があるのでしょうか?
稲生 僕は大阪で生まれ育って……といってもディープな大阪ではなくて、大阪北部の豊中、その旧市部です。あんまり関係ないけれど、数年前に日影丈吉のことで今日泊亜蘭先生にお話をうかがいにいったとき、今日泊先生が小学校の大先輩だと偶然に分かって驚きました(笑)。それはともかく、大阪って、ステレオタイプで言ったら、幻想とは程遠い場所のように思われるでしょ。でも、よく考えたら折口信夫は大阪出身だし、川端康成だって大阪じゃないですか。梶井基次郎もそうだよね。そういう、いわば子供っぽい理由で、大阪や大阪弁を全面的にフィーチャーした形で幻想小説を書きたかったというのはありますね。もうひとつは、大阪という場所をセットすることによって、読者の意識のなかには自動的にある程度のリアリティが発生するだろうと。東京の方でもかなりのイメージをもたれていて、大阪と言うとそれが発動するかな、と。
いっぽう、時代設定のほうは、ひとつは満州が舞台の部分との関係があって、そちらには具体的な日付が入っているので、登場人物の年齢などで整合性をとるためですね。それと、バブル期以前でなくてはいけない。この話の中で、バブルが出てきたら困るので。さらに、関西空港の建設時期もからんでるので、この時期じゃないとまずい。それこそ、あの時期のあの辺では、いろんな人が徘徊していたでしょうから(笑)。
もちろん、主人公の年齢とも関係がなくはない。僕自身が1982年に28歳ですから。
なお、具体的な日付は別のレヴェルでも物語が要求していました。というのは、注意深く読んでいただくと分かるはずですが、物語のなかの時間の流れは微妙に歪められ混乱しています。、したがって、その歪み、混乱の存在が分かるように、座標となるものを入れておく必要がありました。
――主人公が、例の死んだ老人の家に行きますよね。あの駅というのは、具体的にひとつの場所なんですか? それとも中島氏が言うように、いくつかの土地が混ざり合ったイメージですか?
稲生 それはどちらでもいいんじゃないでしょうか? 大阪に関心のある読者は、御自由にいろんな処を思い浮かべてもらっていただければと思います。
【Q3】カトゥルンさんからの質問
『何かかが空を飛んでいる』を年に一度は読みかえしている(笑)カトゥルンと申します。よろしくお願い致します。
今度の御作品でもUFOネタ全開でしたが(う、ネタばれ気味!?)、この分野には今でも御関心をお持ちなのでしょうか?
『何かかが空を飛んでいる』の頃と、見解がお変わりになった点などはありますか?
また、同書の復刊の予定とか続編執筆の予定など、教えて頂けますでしょうか。
稲生 僕は、一冊の本を書き終えてしまうと、その本のテーマにはあまり関心がなくなるタイプなので。
――そうすると、あの本で取り上げられたテーマを、その後も追いかけているわけではない?
稲生 絶無というわけではないですが……でも、ここ5、6年はUFOに関して発言したことはないと思いますけど。
――関心をもってないわけではない?
稲生 完全に失ったわけではないですよ。でも、『何かが……』に関しては終わったことだし、続編を書くつもりはない。僕は、何かのストレートな続編というのはあまり書きたくない。繰り返すのが嫌なんです。
――内容の、一部の部分をとっては?
稲生 残念ながら、あからさまなかたちで、誰が見ても続編というのは僕の場合ありえないので、パート2は出ないでしょう。なお、文庫化については、昔、ある出版社でほぼ本決まりになったんだけど、結局、話が流れたことはありました。
――今作でのUFOネタに関しては?
稲生 『何かが……』の熱心な読者の方々にとっては、『アムネジア』はUFO色が濃いって感じがするのかもしれませんね。ただ、僕としては、そういうつもりはなかった。確かに「UFO体験」について一冊の本を書いたのは大きかったですよ。というのは、「UFO体験」というのは、僕の思っている文学の根本とか、世界認識みたいなものと関係があるので。でも、これは話が長くなるから、ひとまずおいときましょう(笑)。
たとえば、『アムネジア』に出てくる奇妙な文字/記号、これなどにUFO関係の方が強く反応されるのは分かります。、それはそれで構わないんですけれど、でも、違うかたちで読解可能でもある。物語のなかではまったく説明を与えていないので、そのへんが難しいところだな、と思って。
文字とか記号の根源とか発生には、昔から強い関心があるんです。いわゆる神代文字なんかに興味があるのも、たぶんそれに関連しているんだろうと思いますけど。人間って、何であんなものを作るのかっていうところに興味があって。
そういう文字とか記号とかをめぐる幻想への関心は、『アムネジア』では、例の記号が多重の意味をになうというかたちで展開されています。つまり、作中で主人公が下した複数の解釈があって、主人公は口にしていないが読者が容易に思いあたる解釈もある。それから、読者のなかでUFOマニアであるような方々だけの頭に浮かぶ解釈、さらに、それらとはまた異なる解釈――これについては作中ではまったく触れていませんが――と、色々あるんですね。最後の異なる解釈のほうは、いったん気づくとなぜか正解のように思えてきたりするんだけれど、それもやっぱり妄想だろうし(笑)……。
ただ、これは誤解のないように強調しておきたいのだけれど、記号はあくまでピースのひとつにすぎず、物語の核心や決定的な鍵を成すというわけではない。記号以外にも、多様な解釈ができるように仕組まれた箇所は他に幾つもありますから。隠蔽された記号の解釈が分かったからって、どうってことはないといえる。何よりも重要なのは多義的、多面的な読解が可能だということです。また、いっぽうで、読者に気どられない、悟られないということがこちらにとっては技術的な勝利を意味するという部分も存在しますし。
――記号の解釈は発表しないんですか?
稲生 ほんの数人にうっかり洩らしただけなので、このまま墓場まで持って行こうかなと思っています(笑)。
――…………。
稲生 あの記号、自分で書いたんですよ。苦労しました――バレないように、でも、それらしく見えるように、って。ずいぶん時間かかったんだよ!(笑)
――それでは読者の皆さんから幻妖ブックブログあてに、あの記号の解釈をお寄せいただいて、正解に近い解釈を寄せられた方にだけ、作者自身の解釈を特別に披瀝する、という企画をやりましょうよ。いいですね?
稲生 わ、ははははは(汗)。
*御協力いただきました稲生平太郎氏、ならびに質問者の皆さまに感謝いたします。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月11日 13:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
〈伝奇ノ匣〉の続刊について さて、〈幻妖匣〉の話をするからには、当然のことながら、長らく続刊の停止している〈伝奇ノ匣〉についての事情説明をしなければなりません。
結論から申しますと、同シリーズは打ち切りではなく、ペンディングの状態にあります。
理由はいろいろあるのですが、やはり『ゴシック名訳集成 暴夜幻想譚』の売れ行きが――まあ、ある程度は予想されたこととは申せ――いまひとつ、だったこともネガティヴ要因となっています。
一方で、新たに企画として持ちあがっていた〈幻妖匣〉の編纂刊行を優先させてほしい旨の要請もありました。
ただ、その後『クトゥルー神話事典 第三版』の増補改訂作業などが急遽、飛びこんできたため、〈幻妖匣〉自体も当初の予定よりかなり遅れてのスタートとなってしまいましたが……。
〈伝奇ノ匣〉は小生にとって、ことのほか愛着のあるシリーズですし、すでに次回配本予定の『ゴシック名訳集成 吸血妖魅譚』についてはセレクションもほぼ完了していることでもあり、なんとか早い時期に再開したいと思っておりますが、現時点では再開時期の目途は立っておりません。
ちなみに、既刊分の売れ行きや、M文庫編集部あてのリクエスト等々も、今後の動向に大きく作用いたします。あの『伊佐名鬼一郎全作品』を幻で終わらせないためにも(笑)、引き続きまして御支援のほど、何卒よろしくお願い申しあげます。
学研 (2002.7)
通常24時間以内に発送します。
学研 (2005.2)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月11日 05:52 | コメント (0) | トラックバック (0)
読者が選ぶ赤江瀑短篇ベスト・オヴ・ベスト 今年前半の仕事が片づいたと思ったら……息つく間もなく後半戦の仕込みに突入である。
まずは〈伝奇ノ匣〉に続く、学研M文庫の新シリーズ〈幻妖匣〉の打ち合わせのため、五反田へ。
遠い昔にも書いた気がするのだが(笑)、このシリーズ名は「げんようBOX」もしくは「あやかしのはこ」――どちらでも好みの呼び方でお呼びください(個人的には、なんとなく語呂がいいので「げんようぼっくす」と呼ぶことが多いっす)。
このシリーズは、過去の作家を対象とする〈伝奇ノ匣〉に対して、現役作家を対象に、怪奇幻想文学の観点から見たその全貌と精髄を、一巻本アンソロジーの形に集成しようとする試みであります。
もともとが今は亡き「ムー伝奇ノベル大賞」に連動して始まった企画なので、第1弾が赤江瀑氏、続いて皆川博子氏と同賞の選考委員の方々からスタートします(ただまあ、昨今の世知辛い出版状況からして、売れ行きが思わしくなければ即打ち切りとなる可能性もありますので、菊地秀行氏と夢枕獏氏には、遺憾ながらまだお願いの打診をしておりません……小生としては、是非やりたい、のですが。御支援のほど、何卒よろしく!)。
さて、〈幻妖匣〉では毎回、このブログを利用した読者参加企画を下記の要領にて実施することに致しました。
題して――「読者が選ぶ赤江瀑短篇ベスト・オヴ・ベスト」
・赤江瀑氏の膨大な短篇作品の中から、「この作品だけは絶対に外せない」もしくは「この作品をぜひ復刻再録してほしい」というリクエストを、このエントリーのコメント欄にお寄せください。
・書式は、最初に作品名、改行して簡単な(長大な、でも可)コメント、という形でお願いします。
・賞品発送の連絡時に必要なのでメールアドレスは必須。ただしブログ上にメールアドレスは一切公開しませんので、御安心ください。お名前はハンドルでもかまいません。
・お寄せいただいたリクエストの中から、特に多くの票を集めた作品、および編者(=ヒガシ)の印象に残ったコメントの作品を数篇、『幻妖匣』に収録させていただきます。
・御応募いただいた方の中から抽選で3名の方に、刊行時に著者サイン本をプレゼント致します。
全国津々浦々の赤江瀑ファンの皆さま、ふるって御応募くださいますよう、お願い申しあげます!
それとサイトやブログをお持ちの皆さま、当企画の告知に御協力を賜れましたら幸甚であります。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月11日 03:57 | コメント (18) | トラックバック (0)
多数の御応募に深謝! 第一回「幽」怪談文学賞・短編部門の応募受付が先ほど締め切られました。
土曜の深夜だというのに、編集部に貼り付いて頑張る編集Rに連絡を入れて状況を確認したところ、正確な集計ではないものの、なんと400篇を超える御応募をいただいた模様です。思わず「よ、よんひゃくう!?」と電話口で聞き返しちゃいましたよ(笑)。
いや〜、怪談文芸への関心が高まっているなという手応えは感じていたものの、これほどの反響があるとは、正直いって驚きました。
8月10日締切の長編部門にも期待が高まります。
御応募くださいました総ての皆さまに、まずは心から「お疲れさま!」と、感謝の言葉を捧げたいと思います。
なお、今後の短編部門選考スケジュールについては、追ってこのブログおよび「ダ・ヴィンチ」の〈怪談之怪〉コーナーにて発表いたします。何か御質問があれば、ここのコメント欄にも、お気軽にどうぞ(個人的な当落の問い合わせとかはダメよ、当たり前だけど)。
メディアファクトリーダ・ヴィンチ編集部 (2006.2)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月11日 00:42 | コメント (4) | トラックバック (0)
2006年06月10日
黒髪に悩みは深く 恨み、じゃなくて、悩み、ね(笑)。
角川ホラー文庫版『黒髪に恨みは深く』のカバーと帯の色校正が上がってきました。
小生が思い描いていたイメージどおりの仕上がりで(凄いぞ、角川装幀室!)、思わず小躍りしたのですが、帯の2バリエーションのうち、どちらを選択するかで、担当E嬢@自称二十歳と共にしばし悶絶。
やぱーり夏らしく「白」ですかねえ……という結論に達したのだが、「赤」もなかなか刺激的なので、せめて、このブログでなりとお披露目しておきます。如何?
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月10日 04:47 | コメント (9) | トラックバック (0)
今夏の注目怪談文芸本 文豪怪談傑作選や新耳袋関係のみならず、今夏注目の怪談本情報が出そろって参りました。
双葉社からは、浅田次郎『あやし うらめし あなかなし』と、福澤徹三『ピースサイン』という両実力派の怪談文芸短篇集が刊行予定。ビーケーワンではすでに予約受付が始まっています。
この御両人、実は二年ほど前に『小説推理』の〈幻想と怪奇への誘い〉で対談をセッティングしたことがあります。怪談からギャンブルまで、アウトローな怪しい話満載の興味深い内容でしたが、そのハイライト部分を今回、ビーケーワン購入特典として配信いたします。どちらか片方のみでも、もちろん有効ですが、どちらも傑出した作品ですので、ぜひ合わせてお買い求めください。
↑表紙からしてホラー・ジャパネスクど真ん中である!
ちなみに『あやし うらめし あなかなし』には、小生、下記の推薦文を書かせていただきました。デザイン等の都合で、冒頭の一節はオクラ入りになったのですが、せっかくですのでフル・バージョンを、ここに掲げておきます。
巻頭の哀切な名品「赤い絆」と、巻末に据えられた鬼気せまる「お狐様の話」に、なにはさておき瞠目させられた。山家の夜半、老女が語る遠い日の不思議話に、布団にくるまり怖ごわ耳かたむける子供たち……これこそは怪談の、いや、あらゆる物語の原点ではあるまいか。
人の世の妖しさと哀しみが、あえかに明滅する七篇の優霊物語(ジェントル・ゴースト・ストーリー)。
読むほどに、じんわり、ほろりと心が満たされ、忘れかけていた懐かしい記憶が、はらりと蘇る。
文学の極意は怪談にあり、という言葉を、本書ほど美事に体現した書物を、私は他に知らない。
――東雅夫(『幽』編集長/文芸評論家)
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月10日 02:06 | コメント (0) | トラックバック (0)
〈新耳袋〉リミックスとか 『幽』は校了しても、編集R@新耳袋担当の地獄の日々はまだ続くのであった……(笑)。ふぁいとだ!
全十夜完結を受けて目下充電期間中の〈新耳袋〉コンビだが、今年の夏も新刊が出ます。
まずは『幽』発売直後の6月23日に、今夏公開の新作映画『怪談新耳袋 ノブヒロさん』のノベライゼーション(加藤淳也・著/木原浩勝&中山市朗・原作)が、文庫で登場。
カバーは、こんな感じです。
そして……7月7日には、恩田陸編『新耳袋コレクション 恩田陸編』が、こちらも文庫で登場します。
大の新耳ファンでもある恩田陸さんが、全十夜・九百九十話の中から選びに選び抜いた、九十九話の奇妙で不思議な物語集。
『新耳袋』を未読の方は言わずもがな、すでに全十夜をお読みの方にも、必ずや新しい「新耳体験」をもたらすことでしょう。
と、同時にこれは、作家・恩田陸自身の怪談観や都市伝説観を逆照射する、きわめて興味深いアンソロジーの試みでもあります。
完結しても増殖を続ける〈新耳袋〉の世界に御注目を!
実はこの本、例によって意表を突いた祖父江慎デザインの装幀がアッと言わせるんですが、それは追ってまた。
ついでに今夏の「幽」怪談イベント@京都の最新速報を。
佳声師匠による怪談紙芝居実演に続いて、木原浩勝vs平山夢明vs福澤徹三という豪華顔合わせによる怪談会バトルロイヤル決行も確定。どんな恐ろしいネタが飛び出すのか……実話好きな皆さんは必見ですね!
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月10日 01:03 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月09日
怪談/妖怪ファン必見の異色絵本 昨夏の〈妖怪文藝〉刊行に際して大変にお世話になった小学館のSさんから、大判の書籍小包が届いた。中から出てきたのは『こっそり どこかに』というタイトルの一冊の絵本。しかも……なぜか小学館の出版物ではない。長崎出版から刊行開始された〈cub label カブレーベル〉という新シリーズの一巻である。作者は軽部武宏。ん、待てよ、この名前、どこかでお見かけしたような……そうそう、『小説推理』に連載されていた福澤徹三さんの短篇に、いつも個性的な装画を描かれていた絵描きさんではないか。
こんな絵本も描かれるのかあ〜と、黄色いカッパをまとった男の子が夜の町を駈けてゆく表紙をめくった瞬間、アッと息をのんだ。
…………それから小一時間ばかり、本当に我を忘れて、40ページほどの画面を繰りかえし繰りかえし、飽かず眺めつづけた(おかげで打ち合わせの時間に遅刻した)。
たとえば、こんな橋の袂とか。
こんな池の畔とか。
こんな墓場の木とか。
そして、こんな裏道とか。
小さな子供のまなざしだけが垣間見ることのできるトワイライト・ゾーンの光景――鏡花いうところの「たそがれの味」を、こんなにも妖しく、緻密に、そして活き活きと描きだした絵本や画集が、これまであっただろうか。
絵の魅力のみならず、単純でありながら懐の深いストーリーについても語りたいのだが、それは未読の方の興をそぐことになるからやめておこう。
上に掲げた小さな画面から、子供の頃に見あげた夕焼け空や暗い木立の記憶を呼び覚まされた向きは、ぜひ実物を手にして、大きな画面をじっくりと、隅々まで堪能していただきたい。
実はSさんも、たまたま画廊で見かけた軽部氏の作品に魅せられて以来、個人的にこうやって応援していらっしゃるのだそうな。人をして、そのような行動へ駆り立てるだけの魅力をもった、素晴らしい作品であると、小生も思う。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月09日 04:59 | コメント (2) | トラックバック (0)
ビーケーワン怪談大賞、公募はじまる! そして忘れちゃいけない、第4回ビーケーワン怪談大賞の募集も、小生が忙殺されている間に(笑)着々と始まっております!
今回も前回と同様、ブログ形式を採用し、応募作品を到着順にお披露目して参ります(詳しくはこのページ上段のリンクから「怪談大賞ブログ」へGO!)。そして募集締切後に、これまた昨年同様、加門七海さんと福澤徹三さんのおふたりに、入選作品を選んでいただきます。
ビーケーワン怪談大賞の基本コンセプトは、「読んでいるだけではつまらない。自分も怪異の語り部となって、共に怪談を生みだし、共に愉しもう!」にあります。
800字という上限が厳しすぎる……という御意見もあるようですが、これは俳句の五七五や短歌の三十一文字と同じような創作上の「ルール」であるとお考えください。
誰もが平等に、同じ条件のもとで、どれだけの戦慄と驚異を800字の小宇宙に盛り込むことができるのか――。
思えば万葉集の昔から日本には、老若男女さまざまな境遇にある人々が、それぞれに歌作や句作に親しむという、日々の生活に根ざした文芸愛好の伝統がありました。そしてそうした営みの中から、長らく人々の記憶に残る名歌や名句が生みだされてもいったのです。
誰もが気軽に身近な怪異を綴って「恐怖する愉しみ」をオンラインで共有しようとする「ビーケーワン怪談大賞」は、そうした良き伝統を現代のネット社会に継承する試みともいえるのではないでしょうか。
怪談を書くという営みが、やがては歌作や句作と同じような国民的文芸へと育っていったなら、素敵じゃあないですか!?(笑)
そんな未来を夢見つつ、今年もビーケーワンと幻妖ブックブログは、皆さまの怪談を募集いたします。ふるって御参加を賜りたく。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月09日 01:44 | コメント (0) | トラックバック (0)
『幽』怪談文学賞、締切せまる!ハッ、と気がつけば、『幽』怪談文学賞・短編部門の締切が、明後日の10日いっぱいに迫っているではないですか!(笑)
今回の賞は結果的に、怪談之怪四人衆に加えて、岩井志麻子さんと高橋葉介さんのおふたりが、選考委員に加わってくださることになりました。
小説家が男女各1名、漫画家1名、評論家1名、そして怪異蒐集家2名――こういう幅広い分野のエキスパートが集結して選考作業にあたる文学賞というのは、考えてみると珍しいケースかも知れません。いや、そもそもこれだけの規模で実施される、「怪談」をコンセプトとする本格的な文学賞自体、おそらくは日本文学史上初の試みでありましょう。
電子メールでの御応募は、当日の24時まで有効ですので、まだ間に合います。
出そうかどうしようか迷っている方、書きかけて挫折した方、今からでも遅くありません、再トライしてみませんか?
メディアファクトリーダ・ヴィンチ編集部 (2006.2)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月09日 01:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月08日
今度の『幽』はこんな顔!……というわけで、『幽』第5号、無事に校了いたしました。
↑今号は表紙もグラビアも猫だらけだ!
今回はどうしたことか、いつもは校了直前になっても音沙汰がなかったりする(笑)あの方とかこの方とかも、恐ろしいほどすんなりと原稿を頂戴できて、まことに美しい進行と相成った。寄稿者の皆様はじめ、関係各位の御高配と御協力に深謝いたします。毎号、この調子で頼みますよ! ね? ね??(哀願調)
なかでも驚かされたのが山白朝子さん。締切日のはるか前、担当のロータくんから「ももも、もう、山白さんから原稿いただきました!」と歓びの連絡が。しかも前回を軽く凌駕する原稿枚数だとか。さらにタイトルが「鬼物語」ときたもんだ。鬼だよ、鬼ッ!(笑)
満開の桜と鬼という取り合わせは、坂口安吾の名作「桜の森の満開の下」をすぐさま想起させようが、「鬼物語」に登場するのは、女の鬼ではなく、異形の超自然力を象徴するような、無慈悲で謎めいた巨人なのである。緊迫感あふれる展開の果てに到来する幕切れの哀切な異界美に、思わず、ほうと溜め息が出た。お愉しみに。
ちなみに最近、業界関係者から「謎のホラー・ジャパネスク作家、山白朝子」についてのお問い合わせをしばしばいただくのだが、申しわけないことに、同氏との約束により現状では詳細を明かすことができないのである。あしからず御了解を賜りたく。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月08日 05:22 | コメント (0) | トラックバック (0)
盛会御礼 東京古書会館のアンダーグラウンド・ブックカフェで開催された紀田順一郎先生と小生のトークショー、多くの方に御来場を賜り、ありがとうございました。今回も大阪から遠路はるばる駆けつけてくださった方あり、感涙物の恐竜グッズを差し入れてくださったお久しぶりの方あり、本当に恐縮でありました。
おりしも『幽』の校了真っ最中ということで、かなりボロボロの状態で控え室にうかがうと、すでに紀田先生や、第二部に登場される新保博久さんと本多正一さんも到着されていた。ここで紀田先生から、思いがけないプレゼントを頂戴する! M・R・ジェイムズの某作品を映画化した某作品……といえば、その筋の方ならピンとくるやも知れない(欣喜雀躍)。
午後7時からいよいよ開演。今年は演台を囲んで横広がりに座席を配する形になり、客席との距離がグッと近づいてイイ感じである。『日本怪奇小説傑作集』編纂にまつわるあれこれから、戦後怪奇小説出版草創期のお話まで。特に〈怪奇幻想の文学〉や〈世界幻想文学大系〉の企画起ちあげに関わる秘話逸話の数々には、来場の皆さんも満足されたのではなかろうか。アッという間の一時間であった。
もうひとつ衝撃的だったのが、当日配布されたレジュメに含まれていた紀田先生の近刊予告。『戦後創成期ミステリ日記』に続く松籟社のシリーズの続刊として、その名も『幻想と怪奇の時代』を現在、御執筆中とのことである。前半は回想記、後半は怪奇幻想文学関連の論考エッセイ集という構成になるようで、一瞥するなり期待に胸がときめいた(笑)。その完成を刮目して待ちたい。
東京創元社 (2001.10)
通常2-3日以内に発送します。
東京創元社 (2001.11)
通常2-3日以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月08日 04:51 | コメント (2) | トラックバック (0)
2006年06月05日
『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』ラインナップ発表 ……というわけで、こちらも7月上旬発売へ向けて最終段階に入った、ちくま文庫の『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』収録作品一覧を発表いたします。
え〜、ご覧のように、怪談文芸としての視点から見た川端康成の重要作は、ほぼ網羅できたのではないかと思います。あとは長篇『海の火祭』が収録できれば完璧だったのですが、それは物理的に不可能なので(笑)。
東雅夫編『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』収録作品一覧
片腕
ちよ
処女作の祟り
怪談集(女/恐しい愛/歴史)
心中
龍宮の乙姫
霊柩車
屋上の金魚
顕微鏡怪談
卵
不死
白馬
白い満月
花ある写真
抒情歌
慰霊歌
無言
弓浦市
地獄
故郷
岩に菊
離合
【巻末資料】
薔薇の幽霊――少女小説より
蠶女――「唐代小説」より
Oasis of Death(ロオド・ダンセニイ)
古賀春江
時代の祝福
【続刊予告】
文豪怪談傑作選 森鴎外集―――鼠坂(8月刊)
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月05日 22:12
〈文豪怪談傑作選〉開巻にあたって『黒髪に恨みは深く』と完全同時進行となってしまった(汗)ちくま文庫版〈文豪怪談傑作選〉ですが、第1弾となる『川端康成集 片腕』解説の冒頭部分を、開巻の辞として下記に転載しておきます。何故この叢書を、小生が「怪談文芸元年の隠し球」と位置付けていたのか、御納得いただけるのではないかと思いますがゆえ――。
〈文豪怪談傑作選〉シリーズの幕開けにあたって、ぜひとも引用しておきたい一文がある。かつて三島由紀夫が、内田百間(原文は「門」に「月」/以下同)を評して述べた次のくだりである。
アーサー・シモンズは、「文学でもっとも容易な技術は、読者に涙を流させることと、猥褻感を起させることである」と言っている。この言葉と、佐藤春夫氏の「文学の極意は怪談である」という説を照合すると、百間の文学の品質がどういうものかわかってくる。すなわち、百間文学は、人に涙を流させず、猥褻感を起させず、しかも人生の最奥の真実を暗示し、一方、鬼気の表現に卓越している。このことは、当代切ってのこの反骨の文学者が、文学の易しい道を悉く排して最も難事を求め、しかもそれに成功した、ということを意味している。(三島由紀夫『作家論』所収「内田百間・牧野信一・稲垣足穂」)
事は、ひとり百間のみにとどまるものではあるまい。日本文学史に赫々たる足跡を残した古今の文豪たちが、好んで怪談、怪奇小説に筆を染め、傑出した名作佳品を生みだしてきたという事実を、三島の所説は鮮やかに裏書きしているように、私には思われるのだ。
たとえば漱石の「夢十夜」、鴎外の「鼠坂」、春夫の「化物屋敷」や百間の「冥途」から、三島自身の「仲間」にいたるまで、この分野の名作選集に欠かせないアンソロジー・ピースの多くは、名だたる文豪たちの手になるものであった。
とはいえそれを、文芸において最難関と目される「怪談」というジャンルへの挑戦――作中の怪異をどれほど惻々と読者に実感せしめ、恐怖せしめるかといった、テクニカルな腕だめしの欲求に発するものと考えるのは早計だろう。
三島の言葉を敷衍して申せば、優れた怪談には、往々にして「人生の最奥の真実」が暗示されているものであり、またそれあるがゆえに、作中に描かれる怪異も迫真の鬼気もしくは妖気を帯びて、読者を心底ふるえあがらせるのではなかろうか。畢竟、怪談を究めることと文学を究めることとは、いずれが先でいずれが後とも定めがたい営為なのであって、後者において卓越した業績を遺したことで後世「文豪」と呼ばれるにいたった書き手たちの多くが、同時に「怪談の匠(たくみ)」たりえてもいることは、思えば当然の帰結なのであった。
それら巨匠(マイスター)たちが遺した怪談文芸の名作群を一巻本作家選集の形で集成することにより、極上の「恐怖する醍醐味」と、怪談という切り口を通じて浮かびあがる「文豪の文豪たる真髄」を、もろともに満喫していただこうというのが、本シリーズの目論見である。(編者識)
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月05日 21:56 | コメント (0) | トラックバック (0)
『黒髪に恨みは深く』ラインナップ発表 ……というわけで、7月上旬発売へ向けて制作の最終段階に入った、角川ホラー文庫の『黒髪に恨みは深く』収録作品一覧を発表いたします。
一応、ベースとなっているのは『妖髪鬼談』なのですが、ご覧のようにガラリと面目一新、新たなコンセプトを打ち出すことができたのではないかと思っております。どうか御期待ください。
東雅夫編『黒髪に恨みは深く――髪の毛ホラー傑作選』収録作品一覧
園子温&加門七海&東雅夫「エクステ怪談」
伊藤人誉「髪」
加門七海「実話」
宮田登「女の髪」
鶴屋南北「『髪梳き』の場――『東海道四谷怪談』より」
澤田瑞穂「髪梳き幽霊」
モーパッサン「幽霊」(岡本綺堂訳)
杉浦日向子「黒髪の怪二話」
村田喜代子「生え出ずる黒髪」
泉鏡花「黒髪」
赤江瀑「闇絵黒髪」
小酒井不木「毛髪フェチシズム」
皆川博子「文月の使者」
東雅夫「貞子はなぜ怖いのか――毛髪とホラーの妖しい関係をめぐって」
角川書店 (2005.3)
通常2-3日以内に発送します。
角川書店 (2005.9)
通常2-3日以内に発送します。
↑好評発売中の既刊2冊も、よろしく!
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月05日 21:38 | トラックバック (0)
エクステ怪談!?角川書店の某応接室にて『黒髪に恨みは深く』の巻頭鼎談を収録。出席者は、映画監督で詩人の園子温さんと作家の加門七海さん、そして小生という不思議な取り合わせである。
↑園監督(左)と加門さん(右)
そもそもの発端は、小生が最近ネットでたまたま目にとめたニュース記事にあった。『自殺サークル』などの作品で知られる園監督が、髪の毛をテーマにした栗山千明主演のホラー映画『エクステ』(エクステは「ヘア・エクステンション」の略で、人毛を用いた付け毛のこと)をまもなく撮り終える、という話題で、「ズバリ髪の毛の映画。怪談にしろホラーにしろ、長い女性の髪の毛は恐怖の原点では」という監督自身の嬉しくなるようなコメントが紹介されているではないか。
まさに我が意を得たり、というか、よくぞマアこんな絶妙のタイミングで、髪の毛ホラーのアンソロジーと映画が連続するものよ……と感動しながら、角川の担当E嬢@自称二十歳に頼んで、急遽、鼎談のオファーをしたのだった。すると速攻で、監督から快諾のお返事が。企画が決まるときってのは、こんなものである。女性のファッションとしての髪の妖しさというテーマなので、近作長篇『真理』で、女の髪の毛にまつわる薄気味悪いエピソードを披瀝されているばかりか、髪の毛が伸びる人形たちと同居されてもいるという加門七海さんにも加わっていただくことにした。
園監督とは初対面だったが、テーブルに置かれた『血と薔薇の誘う夜に』に目をとめて、「あ、これ買いましたよ」。目下、吸血鬼映画の構想を温めていらっしゃるそうなのだが、ありがたいことである。なんと1トンにのぼるエクステをスタジオに持ちこんで撮影されたという映画『エクステ』の制作秘話あり、加門さんによる髪の毛怪談実話あり、大いに盛り上がった鼎談となったのだが、おりしも、生霊の怨念がこもった髪の毛が出没するという話題のさなか、監督の座席手前のテーブルに、女性のものとおぼしき謎の髪の毛が発見されるというハプニングが!
↑問題の髪の毛を激写!
事の顛末は、角川ホラー文庫から7月上旬発売予定の『黒髪に恨みは深く』をお待ちあれ。
角川書店 (2005.9)
通常2-3日以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月05日 04:32 | コメント (0) | トラックバック (0)
於岩稲荷田宮神社参拝、二回目 さて、『幽』次号の第一特集「猫の怪」で収録した梅田佳声&唐沢俊一対談から数日後、編集部あてに佳声師匠から封書が届いた。中身は丁寧に手書きされた原稿用紙の束。以前、創作落語のコンクールに応募された未発表作品とのことで、「不出来な子ほど可愛いと申します。御笑覧いただけたら……」との添え書きがあった。題して「幽霊化物大合戦」! 『モノノケ大合戦』の編者としては看過できないタイトルではないか(笑)。早速拝読したところ、師匠の話芸を髣髴させる愉快で小粋なお化け噺で、これは是非とも今号に掲載させていただきたいものと、お返事したところ、御快諾をいただいた。
ただし――この噺、『四谷怪談』のお岩様が、物語の要となるメイン・キャラクターとして登場するのである。むむむむむ。
……かくして、前回の参拝からほどなくして、またもや四谷の於岩稲荷田宮神社へ参拝におもむくことに。今回は佳声師匠と編集R、そして小生の三人でうかがった。禰宜の栗岩さんともすっかり顔なじみになってしまったような(笑)。
ともあれ、ホラー文庫の『黒髪に恨みは深く』も『幽』次号も、つつがなく進行できればなにより、ということで。
なお、佳声師匠には今夏、京都で開催予定の『幽』怪談会イベントにて、紙芝居の実演を御披露いただけることになった。正式告知は後日となるが、こちらもお愉しみに!
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月05日 01:59 | コメント (0) | トラックバック (0)
2006年06月04日
【告知】『日本怪奇小説傑作集』トークショー いよいよ本日(4日)から東京古書会館で始まる「アンダーグラウンド・ブックカフェ」の一環としまして、6日の午後7時から下記のトークショーが開催されます。
紀田先生とは、これまで何度もインタビューなどでお話しさせていただいておりますが、公開の場でというのは初めてで、小生自身もどんなお話がうかがえるか、とても愉しみです。お時間の都合がつく方は、ふるって御参集賜りたく。
なお、当初の発表では、紀田先生と小生のトークが第二部の予定でしたが、事情により第一部に変更になりましたので、御注意くださいませ。
『日本怪奇小説傑作集』&『江戸川乱歩全集』完結記念トークショー(二部構成)
第一部/『日本怪奇小説傑作集』完結記念トーク
ゲスト/紀田順一郎&東雅夫
近現代の日本作家が生み出した怪奇小説の中から、名作中の名作50編を全3巻に集成した『日本怪奇小説傑作集』。大反響をもって迎えられた画期的なアンソロジーの共編者である紀田順一郎・東雅夫両氏が語る、編纂秘話と戦後幻想文学出版史!
第二部/『江戸川乱歩全集』完結記念トーク
ゲスト/新保博久&本多正一
これまでの刊本を一新し、新たな定本を目指した新版『江戸川乱歩全集』が完結。編纂校訂の苦労、そして新発見の数々。山前譲さんとともに監修にあたった、乱歩研究、ミステリー評論の第一人者・新保博久さんが語る乱歩文学の新地平!
6月6日(火)19:00〜 東京古書会館地下
定員80名 入場料1000円
(17:30より会場にて販売開始/当日券のみ)
http://underg.cocolog-nifty.com/tikasitu/2006/04/post_ec80.html
東京創元社 (2005.7)
通常24時間以内に発送します。
東京創元社 (2005.9)
通常2-3日以内に発送します。
東京創元社 (2005.12)
通常24時間以内に発送します。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月04日 05:28
海野十三忌2006講演会/パート2え〜徳島紀行の一日目を書いたところでまたも中断したため、これは症状が悪化したのかと御心配やら御期待やら(笑)いただいたようなのですが、先週このかた一年で最も多忙なシーズンのピークを迎えていただけですので、御安心くださいませ。おかげさまでようやく、学研M文庫(クトゥルー神話事典)、ちくま文庫(文豪怪談傑作選)、角川ホラー文庫(髪の毛ホラー傑作選)、メディアファクトリー(幽)という今年前半の大仕事、戦慄の四つ巴状態をなんとか抜け出すことができました(ホッ)。てなわけで、海野紀行に戻ります。
やはり体調に鑑みて、翌15日の午後早めの飛行機で東京へ戻ることにする。
朝十時にホテル前で小西さんと待ち合わせ、車で飛行場まで送っていただけることに。せっかくなので途中、十三ゆかりのスポットや、小西さん推奨の怪奇幻想オタク向け(!?)スポットに寄り道していただくことになった。わくわく。
↑海野十三文学碑
まずは市の中心部、徳島中央公園にある海野十三文学碑へ。綺麗に整備された公園の一角に、モダンなたたずまいの立派な記念碑が鎮座していた。その後、十三が幼少期を過ごした安宅町へ。道路をはさんで四所神社と向かい合う位置に移設された旧海野十三碑を眺めた後、幼い日の十三が遊び場にしていたという神社の境内へ足を踏み入れると、おりしも子供たちが先生に引率されて、茅の輪くぐりの神事に参加しているところだった。良いものに遭遇した気分。
↑四所神社の境内
町内に残されていた旧宅は先年、老朽化のため惜しくも取り壊されたそうで、跡地には瀟洒な民家が建てられていた。エッセイ「『三人の双生児』の故郷に帰る」(ちくま文庫版『怪奇探偵小説傑作選5 海野十三集』所収)を思い浮かべながら、裏手の住吉島川を見晴らして、わずかに往時を偲ぶ。
「ちょっと変わった古書店に御案内します。ふふふふふ」という謎めいたセリフとともに到着したのは、店の前半分は金物屋さんで、奥の半分が古本屋さんという不思議なお店「SOLARIS(ソラリス)」だった(「古本屋ソラリス」の名前で楽天フリマにも出品中)。怪奇幻想文学やSF、コミック、写真集など非常にマニアックな品揃えなのだが、価格はとても良心的。『徳島の研究』叢書ほか、思わず買い込んでしまう。棚の上から店内を睥睨する平成ガメラの巨大フィギュアを見あげながら店の御主人とオタク話をしていると、近所のお年寄りたちが日用品を買いに訪れる。長閑で不思議な空間であった。もう一軒、こちらは福祉関係の施設が開設している巨大リサイクルショップにも立ち寄る。これが規模といい黒い本が多いことといい、なかなか侮れない店だった。
↑ソラリスの店内
うっかり荷物が増えてしまったので、小西さんの御自宅に急遽お邪魔して、宅配便の荷造りをさせていただくことに。ついでに応接間の書棚にびっしり詰め込まれたコレクションの一端を拝見。いやあ……蒐めてますねえ〜(笑)。しかもなんとお土産に、伝説のミニコミ『ハードスタッフ』の第10号と11号を頂戴する。そう、小西さんは80年代初頭からプライベート・プレス「先鋭疾風社」をたった独りで運営し、個人誌『ハードスタッフ』や『JU通信・復刻版』などを刊行されてきた、筋金入りの自主独立系・編集出版人でもあるのだ。帰りの飛行機の中で、早速『ハードスタッフ』を拝読、行間にみなぎる熱きエディトリアル・スピリットに共感を覚えることしきり。
……というわけで病状が悪化することもなく、無事に日程を終えることができたのも、小西さんの細やかなお心遣いの数々あればこそであった。最後にもう一度、深謝申しあげたいと思う。
投稿者 東 雅夫 : 2006年06月04日 04:45 | コメント (2) | トラックバック (0)















































