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2008年03月30日

匠魂の四鬼揃い踏み

 発売を心待ちにしていたバンダイの「S.I.C.匠魂スペシャル・セカンド」を、近所のコンビニで見かけたので、久しぶりにオトナ買い(笑)。
 お目当てはもちろん、響鬼・響鬼紅・威吹鬼・轟鬼・斬鬼の五鬼である(いずれも原型製作は藤岡ユキオ氏)。
 残念ながらトドだけ外したが、他の四鬼をゲットできたので、まずはよしとすべきか。

sic4ki.jpg

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↑息長く『響鬼』を語り継ぐために。まずはこのへんから。
朝日ソノラマの消滅で『魂』が入手困難になったのがナントモ……復刊を切に望む!







↑シールブックはいろいろ遊べるので大きなお友達も見逃すな!(笑)

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月30日 05:07 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月28日

新刊一行紹介(03/28)




大江戸橋ものがたり (石本馨著)
※写真家としても知られる著者が跡づける、水都・江戸の橋の記憶。橋にまつわる怪奇伝承の紹介も。




幽霊狩人カーナッキの事件簿(W・H・ホジスン著/夏来健次訳)
※ゴーストハンター小説の大古典、待望の新訳版が登場。本邦初訳の一篇に思わずニヤリ。




道化の町(ジェイムズ・パウエル著/白須清美ほか訳)
※ファンタジーと本格ミステリーが融合された、奇妙奇天烈なふしぎ世界を堪能されたし!







チックタック(ディーン・クーンツ著/風間賢二訳)
※こちらはノンストップホラーとナンセンス・コメディの融合!? お馬鹿なクーンツが還ってきた!(笑)







ルインズ 廃墟の奥へ(スコット・スミス著/近藤純夫訳)
※岡本綺堂『飛騨の怪談』の世界とも一脈通ずるところのある(!?)密林探検ホラーの怪作。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月28日 19:58 | コメント (0) | トラックバック (0)

てのひら通信(03/28)

 文庫版『てのひら怪談』の装画(というか美術)をお願いすることになった山下昇平さんから、朝な夕な刻々と、妙な画像が到着中(笑)。
 たとえば、こんな……。

tenoyamas.jpg

 ううーむ。これは画像の一部分をピックアップしてみたものなんですが、この妙な生き物は……散乱する物体は……てッ、てのひら!?

 今週末には高田馬場から早稲田の界隈で、山下さん造形のオブジェを使用した街頭撮影が敢行される模様です。
 近辺にお住まいの「てのひら」関係者の皆さんは、丸刈り頭のあんちゃんと斉藤さんのコンビが、路上で怪しい撮影活動しているのを見かけたら、そっと励ましの声をかけてあげてくださいね!

 さて、ポプラビーチの「週刊てのひら怪談」が更新されております。
 今週は、吉野あやさんの「玩具」と室津圭さんの「回送電車」という鉄道怪談つながりの両篇です。
 「玩具」にもチラリと出てきますが、全国各地で鉄道建設が進められた明治期には、実際に鉄道がらみの狐狸の妖異が頻繁に報告されているのですな。
 ちなみに両篇が期せずして「不安な結末」つながりにもなっているのは、どこまでも続く線路の先へ馳せるまなざしゆえ、なのでしょうか!?

 次回は、武田若千さんの「桜」と仲町六絵さんの「空を渡る」をお送りします。









投稿者 東 雅夫 : 2008年03月28日 15:29 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月27日

自著打ち合わせとか

 続いては渋谷のメディアファクトリーにて、吸血キッシーとサシで打ち合わせ。
 メインテーマは、秋に〈幽ブックス〉で書き下ろし刊行を予定している拙著の内容とスケジュールについて。詳細は、追い追いまた。小説じゃないですよ(笑)。
 他にもいくつか早急に打ち合わせるべき件があったので、思いのほか長時間の編集部滞在となった。
 とりあえず次号から『幽』の本文用紙が変わります!

 帰りがけに編集Rの机に寄ったら、届いたばかりの水沫流人さんの新作原稿を託される。
 受賞作『七面坂心中』とはまったく趣を異にする意欲作の由、これから拝読するのが愉しみである。
 すでに完成している宇佐美まことさんの新作ともども、順調にいけば夏頃には〈幽ブックス〉とは別ラインで世に出せるかと思うので、こちらも御期待いただきたい。
 また、黒史郎さんの大賞受賞作『夜は一緒に散歩しよ』についても、ちょいと先々が愉しみな、とある展開があった模様(謎)。

 ちなみに原稿到着といえば、『怪談実話系(仮)』寄稿者のおひとりである岩井志麻子さんから、先日早くも(なんと締切一ヶ月以上前!)原稿が届いて驚愕する。もちろん執筆陣で最速。超御多忙のなか、本当にありがたいことである。
 しかもその慄然たる内容たるや……いや、それについてはまた改めて(笑)。













投稿者 東 雅夫 : 2008年03月27日 16:11 | コメント (0) | トラックバック (0)

唐沢俊一さんと打ち合わせ

 『ダ・ヴィンチ』次号にバンドのライブ写真が掲載されるらしい(笑)デスメタルSと共に、渋谷某所の喫茶店で、唐沢俊一氏と面談。
 〈幽ブックス〉で今年刊行を予定している書き下ろし小説の打ち合わせである。

 小説作品といっても、そこは唐沢氏のこと、一筋縄でいかない仰天の趣向が盛り込まれる予定で、『幽』で連載中の怪談漫画に関わる蘊蓄もてんこ盛りになるらしい……!?
 打ち合わせに先だって編集部に送られてきた冒頭部分のレトロ怪奇な味わいは、手応え十分だった。

 実はこの企画、小生がぶんか社で〈HORRORWAVE〉という書き下ろし叢書を展開していたときから俎上にのぼっていたもので、なんだかんだで十年越しのプロジェクト(笑)となる。
 今度こそ形にしたいものだし、きっとそうなるだろうと確信している次第。

 ちなみに帰りがけにSから聞いたところでは、雀野日名子さんに進めてもらっている書き下ろしも、残り1篇まで漕ぎ着けている模様。大賞受賞作「あちん」を核にした連作怪談集になる予定とのことで、こちらも完成が愉しみである。






投稿者 東 雅夫 : 2008年03月27日 13:44 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月25日

替え歌を録音

 怪ラヂヲを視聴された方は、番組の最後に妙な替え歌が流れるのを御存知かと思います。
 野球中継開始とともに、残念ながら番組は終了だそうですが、なぜか替え歌の録音作業はプライベートに続けられていて(理由は秘密)、小生もお声がけをいただき、美川憲一『さそり座の女』の替え歌『いざなぎの太夫』を歌って参りました。

 場所は秋葉原の某カラオケルーム。
 会場に到着するとそこには、すでに録音機材をセットアップして待機する京極夏彦さんほか妖怪関係者の皆さまや、同じく歌録りのため召喚された某集英社が誇るカラオケ女王C塚さんの姿が(笑)。
 小学生時代から歌い込んできた曲とはいえ、ちゃんと録音されるのは初体験ゆえ、思いのほか緊張しました。

 収録後は大部屋に移って、普通のカラオケ大会。小生は、お約束の『少年よ』とか『新潟ブルース』とか『LOVE――抱きしめたい』の替え歌で編集Mを偲ぶ歌とか。
 また、特に名を秘す某氏が黒手袋にマイクを握って熱唱する『幽のうた』(元歌は『ダイヤモンド・アイズ』)には爆笑させられました。その抱腹絶倒な内容はというとですな、あ、なにをするんだ編集R! うわ、ぐぐ、あぐぁはっあああ…………















投稿者 東 雅夫 : 2008年03月25日 04:28 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月22日

映画『吸血』に注目

 『夜想』のヴァンパイア特集や吸血鬼イベントでなにくれとなくお世話になった、元『夜想』スタッフの永松左知さんがプロデューサーを務める映画『吸血』(吉本直紀監督)が完成し、5月に上映会が開催されることになりました。
 どんな映画かといいいますと――

 黒澤明記念ショートフィルムコンペティション04-05ノミネート『ドライ』、Int'IFest of Cinema and Tecnology 2008 正式招待『Nowhere』の吉本直紀が、現代日本の闇と血にとり憑かれた種族を描くネオ・クラシック怪奇映画。
 儚さと魔性を秘めた舞台女優・柿澤亜友美と舞踏家・室伏鴻が、迫り来る太陽の中で織り成す究極の物語とは――。

 とのこと。すでに〈トーキング・ヘッズ叢書〉の『ネオ・ゴシック・ヴィジョン』にも紹介記事が載りましたので、御存知の向きもあるかもしれません。なにやらゴスにしてホラー・ジャパネスクな雰囲気のようですな(笑)。

 上映会の詳細などについては、下記の公式サイトを参照してください。
 http://kyuketu.is-mine.net/










投稿者 東 雅夫 : 2008年03月22日 16:53 | コメント (0) | トラックバック (0)

てのひら通信(03/22)

 斉藤さんから文庫版『てのひら怪談』の台割構成の相談が。
 ちょっと閃いたことがあるので提案してみる。
 ちなみにボーナストラックの書き下ろし新作ですが、台割との絡みで現状では5篇程度の収録となりそうな雲行きです。ううむ悩ましい……。

 ちなみに、ポプラ文庫ウェブサイトも開設されました。
 http://www.poplar.co.jp/bunko/
 お、おしゃれだ(笑)。
 実はポプラ文庫では、てのひら関係以外のオファーも頂戴しておりまして、こういうおしゃれーなノリでがんばりたいと思っております(謎)。まだちょっと先の話ですが、乞御期待!

 さて、遅くなりましたが、ポプラビーチの「週刊てのひら怪談」が更新されております。
 今週は、有井聡さんの「祖母の話し残したこと」と春乃蒼さんの「居候蜘蛛」という、古老の独白による懐かしい怪異の物語が揃いました。

 次回は、吉野あやさんの「玩具」と室津圭さんの「回送電車」をお送りする予定です。





投稿者 東 雅夫 : 2008年03月22日 13:04 | コメント (0) | トラックバック (0)

怪奇幻想の源流としての東北

 東北芸術工科大学東北文化研究センターから発行されている『舞台評論』vol.4が届きました。
 同誌は、同センターの教授で現代舞踏家でもある森繁哉氏が責任編集されている本格的な学術研究批評誌で、創刊号では「土方巽と東北」、2号で「故郷とはなにか――寺山修司の遺言」、3号で「東北からの大衆芸能」と、幻想文学読者にも見逃せない充実した特集が組まれてきました。

 今号は特集が「物語とはなにか――東北・民譚の想像力から」ということで、『遠野物語』を中心とする東北のフォークロアをめぐって、作家の高橋克彦氏や平谷美樹氏、『響鬼探究』にも御寄稿いただいた文芸評論家の安藤礼二氏など、怪奇幻想文学系にもなじみ深い面々も交えて、多角的に取りあげられています。

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 で、なぜか小生も「怪奇幻想文学の源流」と題するインタビュー取材を受けまして(おそらく『文豪怪談傑作選 柳田國男集』のせいだろうと思っていたら、担当編集者のH氏は『幻想文学』の熱心な読者でいらしたそうで恐縮するやら嬉しいやら)、それもなんと8ページにもわたって掲載されております(汗)。
 独り語りのスタイルでまとめられていますが、実際にはインタビュアーの質問に答える形で、明治の怪談ブームにおける『遠野物語』の意義や、東北地方と怪奇幻想文学との関わり、さらには円谷怪獣映画と東北等々についてまで(笑)、想のおもむくまま喋り散らした内容なので、まあまとめる方も苦労されたと思いますし、小生もゲラでかなり細かく手を入れたのですが、それでも話がポンポン飛んで、あぶなっかしいことこの上ない談話と相なりました。いやはや。

butaihy2.jpg
↑最終ページに『幽』最新号等の書影が
ほとんど実物大で掲げられていて感激!

 ま、小生の与太話はともかく、巻頭の赤坂憲雄・文/森繁哉・舞踊/佐々木光・写真による「遠野物語を踊る、そのかたわらで」(表紙写真もその一景)をはじめとして、幻想文学ファンや怪談・妖怪ファンにも興味深い記事が満載ですので、関心のある向きは是非よろしく。
 一般書店では販売していないそうなのですが、下記のサイトから購入申し込みができます。税込価格2100円也。

http://www.tuad.ac.jp/tobunken/katsudo/s06.html
















投稿者 東 雅夫 : 2008年03月22日 01:59 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月21日

2007年度のマイベスト5(海外篇)

 引き続き、海外篇のマイベスト5を。
 このところクラシカルな英米怪談方面の紹介が、地味ながら活性化しつつあるのは、悦ばしい傾向といえるだろう。
 個々の本に関するコメントは、『SFが読みたい! 2008年版』を参照していただきたい。




『幽霊』イーディス・ウォートン



『鼻のある男――イギリス女流怪奇小説選』梅田正彦編訳



『千の脚を持つ男』中村融編訳



『グランダンの怪奇事件簿』シーバリー・クイン



『魔道書ネクロノミコン完全版』ジョージ・ヘイ編

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月21日 07:00 | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年度のマイベスト5(国内篇)

 すっからかんに失念していたが(笑)、早川書房の恒例『SFが読みたい! 2008年版』にも登板していたのだった。



 例によって、狭義のSFとは何の関わりもないベスト5で恐縮なり(しかし年を追うごとに、諸賢のアンケートに挙げられる書目が画一化している印象を受けるのは、どうしたことか……)。
 まずは国内篇ベスト5から。どれも甲乙つけがたい好著ばかりゆえ、未読の向きは、この機会にぜひ!




『祝山』加門七海



『旧怪談』京極夏彦



『円朝芝居噺 夫婦幽霊』辻原登



『神野悪五郎只今退散仕る』高原英理



『幻想と怪奇の時代』紀田順一郎

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月21日 06:35 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月20日

『小説トリッパー』春号

 朝日新聞社から発行されている季刊文芸誌『小説トリッパー』春号の見本誌が届きました。
 特集「『ゼロ年代』の作家たち」の「いま注目する新人たち」というコーナーに、エッセイ「『幻想』と『怪奇』の仄暗きあわいに」を寄稿しました。
 このコーナーは分野別に期待の新鋭作家を紹介するという趣旨で、ほかに時代小説を北上次郎氏が、ミステリーを佳多山大地氏が、SFを小谷真理氏が、エンターテインメントを藤田香織氏が、それぞれ担当しています。

tripperzeros.jpg

 いま注目する新人3名を……というリクエストだったのですが、どこまでを「新人」の域に含めるべきかで、ちょいと思案。結果的に、できるだけ最新の、しかも既存のホラーとは異なる個性を感じさせる「旬」な方々をチョイスしてみました。
 それと同時に、2000年前後を境に低落傾向に転じていたホラーの「その後」の展望も試みておりますので、短いものですが是非とも御高覧を賜りたく。









投稿者 東 雅夫 : 2008年03月20日 11:45 | コメント (0) | トラックバック (0)

さそり座の女

 ずいぶんと久方ぶりに『美川憲一ベスト16』を引っ張り出して、原稿執筆のかたわら「さそり座の女」のおさらい(笑)。

 何故かは秘密だ。

 小学生の頃から歌い込んできたとはいっても、最近はカラオケに出撃する機会もめっきり減ったし、特に「さそり座」は、「柳ヶ瀬ブルース」や「みれん町」「大阪の夜」「釧路の夜」「新潟ブルース」あたりの名曲群に較べると、さほど思い入れの強い曲でもないので、念のために、と。

 ちなみに美川憲一というと、小学生の頃、今はなき浅草国際劇場のコンサートに行ったとき立ち寄った浅草の古書店で、萩原朔太郎『猫町』の初版本を見かけたことを、妙に鮮明に記憶している。さすがに買わな、いや、買えなかったけど。












投稿者 東 雅夫 : 2008年03月20日 03:04 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月19日

ジャンクからヴィネットへ!

 承前。同じく〈幻想と怪奇〉時評で採りあげた、若竹七海の恐怖短篇集『バベル島』の解説(評者は『幽』でもおなじみ千街晶之氏。若竹流ホラーの特質が手際よくまとめられていて感心する)を読んでいたら、思わず小躍りしたくなるような一節に出会した。

 翻訳家の宮脇孝雄氏が、『ミステリーズ!』25号に寄稿された『黒本』(福澤徹三著)の書評中で、いわゆる怪談実話のジャンルに関して、次のような注目すべき言及をされているというのだ。以下、神保町に出向いたついでに買ってきた『ミステリーズ!』同号から引用させていただく。

 木原浩勝・中山市朗の『現代百物語「新耳袋」』(一九九八年に最初の巻が出て二〇〇五年十巻で完結)以来、このジャンル(引用者註/「怪奇実話」を指す)がたちまち洗練期を迎えたことは、もうみなさんご存じだろう。大袈裟にいえば、これまで junk(安物)だったものが vignette(優雅な文芸小品)と見なされるようになったのである。今では書く人も読む人も少なくなったショートショートの平成怪奇版といった趣もある。
 二〇〇二年に出た福澤徹三の『怪を訊く日々』もそんな新しい実話怪談の傑作だった。今でも私は、忘れたころに読み返して、楽しんだり、ぞっとしたりしている。

 いやはや、ここ数年、お題目のように「怪談文芸怪談文芸……」と唱え続けてきた小生としては、まさに我が意を得たり、というべき嬉しい一文であった。
 もとより小生(&怪談之怪)も、宮脇氏が指摘されているような理念を胸に活動を続けてきたわけだが、当事者の口からは云い難いことをサラリと、的確に指摘していただき感謝に堪えない。

 さるにても「ヴィネット」とは……なんとも言い得て妙ではないか!









投稿者 東 雅夫 : 2008年03月19日 01:38 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月18日

長い怪談を書く人の必読書

 毎月恒例『小説推理』の〈幻想と怪奇〉時評を執筆。今月のイチオシは断固、南條竹則編訳『地獄――英国怪談中篇傑作集』だ(笑)。
 わずか3篇の収録作(中篇集なのだから当然だが)の1篇が、既訳のあるデ・ラ・メア「シートンのおばさん」であることを訝しむ向きもあるようだが、どうか騙されたと思って、創元推理文庫版『怪奇小説傑作集3』の既訳と、じっくり読み較べてみていただきたい。英国怪奇小説伝統の朦朧体の代表作とされる同作の、どこが真に朦朧としていて、どこがそうではなかったのか……が歴然として一驚を喫すること請け合いである。
 たとえて申せば、朦朧たる霧のわずかな晴れ間から、さらにおぞましい光景が垣間見えた……とでも形容すべき読後感であった。翻訳、おそるべし。

 併録のシンクレア「水晶の瑕」、ブラックウッド「地獄」の両作も、中篇ならではの執拗細緻を極める超自然描写や異常心理描写の数々に圧倒されることだろう。特に「地獄」は、従来のブラックウッド観を一変させかねない凄みに満ちた逸品である。
 英国怪談文芸の重厚な伝統と端倪すべからざる底力が如実に感じられて、読んでいて無性に嬉しくなってしまったことであるよ。

 ちなみに『幽』怪談文学賞の長篇部門を狙っているけれど、長い怪談をどう書けばよいのか分からない……とお悩みの向きは、何はさておき本書を繙読・再読・三読すべし、と断言しておこう!



投稿者 東 雅夫 : 2008年03月18日 16:09 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月17日

神保町打ち合わせ三連チャン(第3日目)

 そのまた翌日、首都圏某所での消耗する用事をなんとか済ませた後、夕刻になって神保町へ駆けつける。
 『幽』9号の第一特集「山の怪談」でおこなう予定の「怪談巡礼団+安曇潤平による戦慄の春山紀行」企画の打ち合わせだ。

 休日とあって大入り満員の「さぼうる」に飛び込むと、穴蔵のような地下の一隅に、うっそりと身を潜める安曇氏と編集Rの姿が(笑)。
 しばし遅れて、一特編集担当の中野晴行氏が、さらに遅れて、加門七海さんが御到着あそばされる。
 巡礼行の目的地については……まだ秘密ということで。

 安曇氏には、「山の怪談」の偉大な先達のひとりである夢枕獏氏へのインタビュアー役も務めていただくことになっているので、こちらもお愉しみに!



投稿者 東 雅夫 : 2008年03月17日 12:00 | コメント (0) | トラックバック (0)

神保町打ち合わせ三連チャン(第2日目)

 さて翌日は、ビーケーワンでの定例会議(今年の怪談大賞の運営も議題にのぼる。一年経つの早すぎ。応募規定その他ちょっとだけ変更あり)の後、神保町へおもむき、三省堂本店二階の喫茶店で、国書刊行会の礒崎編集長と打ち合わせ。

 議題は……当然のことながら、恐怖の『日本幻想作家名鑑』完全改訂版(の、小生執筆&監修パート)について、だ!
 現時点では、いつ頃から着手できるか甚だ心許ない状況ではあるのだが、今年後半にはなんとかメドだけでもつけたいものである……。

 実はもうひとつ――こちらはとても心愉しい――企画の件もあったのだが、これについては時期尚早かと思われるので、追ってまた。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月17日 11:55 | コメント (0) | トラックバック (0)

神保町打ち合わせ三連チャン(第1日目)

 ビーンズワークスのDさんと、神保町古書センタービルの中野書店さんへ。神田古書店連盟の中野智之さんと、秋の古本まつりに合わせて開催される予定の催事企画の打ち合わせをおこなう。
 このところ毎年「地下室の古書展」に登板させていただいている御縁で、怪談・妖怪がらみの出版企画にからめて何かお願いできませんか? との、ありがたいお申し出をいただいたのである。
 即座にいくつかの企画を思いついたものの、いかんせん現状では小生自身が動くのはかなりキビシイため、ライターやアーティストのマネージメントも手がけているビーンズワークスさんに、実務面のサポートをお願いすることになったのだ。
 ちょいと素敵なプラン(幽やてのひら関係に非ず)が閃いたので、今後の進展に御注目のほどを。

 さるにても、画期的な「連想検索」機能を備えた公式サイト「BOOK TOWN じんぼう」http://jimbou.info/index.html や、前述の「地下室の古書展」の試みをはじめ、近年の古書店連盟さんの意欲的な取り組みには、中野さんのお話をうかがっていて更めて驚かされた。
 昨年DVDで発売された東京古典会の自主制作(!?)ドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY 和本』(三好大輔監督)では、和本に一家言ある古書店界の重鎮諸氏や大学の先生方に加えて、なんと荒俣宏さんまでがゲスト出演し、日本独自の出版文化である和本の魅力を縦横に語っている。
 また、由緒ある店舗の建物を利用する形で先ごろ表通りにオープンした「神保町案内所」は、本の街の情報発信基地としての役割に加えて、手頃なイベントスペースとしても活用される予定とか。
 荒俣さんを例に挙げるまでもなく、怪談や妖怪と古書店とは、ことのほか相性がよいわけで(笑)、今後もいろいろと連携の途を探っていきたいと思う。

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↑『和本』DVDと、こちらも中野さんたちが制作に協力している、黒船レディと銀星楽団のCD『古本屋のワルツ』。ともに絶讃発売中!

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月17日 11:46 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月15日

本のソムリエ

 『読売新聞』日曜読書面の「本のソムリエ」――毎回さまざまな本に関する相談に、識者が回答を寄せる名物コーナーに寄稿しました。
 小生が担当したのは、「ホラーをほとんど読んだことがない初心者にも気軽に読めて怖いホラー小説は?」という19歳の学生さんからの相談です。

 明日16日の朝刊に掲載されるようですので、御関心ある向きは、よろしく御高覧のほどを。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月15日 12:44 | コメント (0) | トラックバック (0)

てのひら通信(03/15)

 『ダ・ヴィンチ』今月号の「怪談之怪」コーナーに、てのひら作家の一員であり、第2回『幽』怪談文学賞では短篇部門優秀賞を受賞した勝山海百合さんのインタビューが掲載されています。小生が聞き手を務め、まとめを酒月茗こと門賀美央子さんにお願いしました。

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 素敵な和服姿の海百合さんは、もう最初ッから飛ばしまくりで(笑)、終始笑いの絶えない取材となりました。ぜひ御一読のほどを。
 海百合さんには現在、デビュー作品集のために鋭意書き下ろしをお願いしていますので、こちらも鶴首して待て!

 今月の『ダ・ヴィンチ』では他に、綾辻行人さんと『深泥丘奇談』をめぐって対談しております。冒頭ページに写っている夜景の建物は、物語の舞台(!?)となった洛北の某病院であります。小生も昨年の五山の送り火の際に探訪させていただきましたが、とても雰囲気のある建物でしたよ。

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↑某病院屋上から一望した五山の送り火

 さて、ポプラビーチの「週刊てのひら怪談」も更新されております。
 今回は、沢井良太さんの「ピンポンダッシュ」と宮間波さんの「呼び鈴」――妖変を告げる音連れ=訪れをめぐる奇妙な物語の競演です。
 次週は、有井聡さんの「祖母の話し残したこと」と春乃蒼さんの「居候蜘蛛」をお送りします。



投稿者 東 雅夫 : 2008年03月15日 10:40 | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年03月13日

深泥丘の夜宴

 池袋のジュンク堂書店でおこなわれた綾辻行人『深泥丘奇談』サイン会の後、近くのレストランで開かれた打ち上げの席に。
 綾辻さんと親しい業界関係者だけの内々の集いゆえ、いたって寛いだ雰囲気で愉しい数刻を過ごさせていただいた。

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↑祖父江慎さんとのツーショット

 中井英夫や赤江瀑の大ファンというALI PROJECTの宝野アリカさんや、ミステリー作家の道尾秀介さん、辻村深月さんと初めてお目にかかり、御挨拶させていただく。

 また、持参した『深泥丘奇談』に、綾辻さんと祖父江さんのWサインを頂戴し、首尾良く秘蔵の一冊を完成させたことは申すまでもあるまい(笑)。

 二次会には京極夏彦さんも駆けつけてくださり、夜も更けてから、デスメタル関口がボーカルを務めるバンドのライヴ取材(!)を終えた編集Rも合流。皆さま、お疲れさまでした。


投稿者 東 雅夫 : 2008年03月13日 11:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月11日

怪談実話系企画、ゾクゾク

 春一番とともに「怪談の夏」への助走も本格スタートしつつあり。

 半蔵門のレストランで吸血キッシーとともに、北海道から上京中の立原透耶さんとランチ・ミーティング。議題は……怪談実話本@〈幽ブックス〉書き下ろしの御相談である。

 立原さんといえば、『幽』7号の加門七海さんとの対談で、あの加門さんをすら戦かせるような体験談の数々を御披露いただいたことで記憶に新しい。しかもその周辺には、これまた凄い体験談の持ち主が少なくないとか……。
 出足絶好調の安曇潤平『赤いヤッケの男』に続いて、今度は体験者自身が綴る、まさに100パーセント純正の実話を中心にしたユニークな怪談集をお届けできると思うので、どうか御期待あれ。

 さらに立原さんには、怪談文学史上初の試みとなる、文庫書き下ろし競作集『怪談実話系(仮)』(詳細は追ってまた)への参戦も御快諾いただいたので、こちらもお愉しみに!

 ちなみに、純正怪談実話といえば、ちくま文庫の〈文豪怪談傑作選〉今夏の特別篇として現在編纂中のアンソロジーのタイトルも、『文豪怪談実話』に決定した。こちらも詳細は追ってまた。

 今年の夏は「実話系」がヒートアップ!?



投稿者 東 雅夫 : 2008年03月11日 11:50 | コメント (0) | トラックバック (0)

超古代オーパーツの謎と真実

 その山下昇平さんが、さりげなーく腕をふるっている学研ムック〈ヴィジュアル版謎シリーズ〉最新刊『超古代オーパーツの謎と真実』が、このほど発売されました。
 山下さんが担当しているのは、巻頭のフルカラー頁の装画や恐竜土偶のリアル恐竜図など。

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 ご覧のように、イマジナティヴな装画と、かゆいところに手が届く「大図解」を絡めた独特の誌面構成は、どことなく往年の大伴昌司によるエディトリアル世界を彷彿させて、思わず「ほほう!」と感心しきり。類書の多い分野ですが、レイアウトのみならず写真の選別や博捜ぶりに、ひと味違う手間のかけ方がなされているように感じました。
 前作『クトゥルー神話の謎と真実』に続いて、編集制作のビーンズワークスさんとデザインの新井美樹さんのコンビは良い仕事してますなー。

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 ちなみに小生も別名義で、「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターとしておなじみ竹内海南江さんインタビューや恐竜関連記事監修(!?)などを、こっそり担当しております(笑)。竹内さんの談話中で言及されている、タッシリ・ナジェールの壁画にまつわる不思議な逸話は怪談ファンも必読だ!

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投稿者 東 雅夫 : 2008年03月11日 10:59 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月09日

クサユウレイ

 昨年の夏、向島百花園で開かれた「百物語の夕べ」見物におもむいた際、園内の一隅で異様なモノと遭遇した。

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 題して「クサユウレイ」。作者名は「山下」としか記されていなかった。
 どうやら催しにあわせて、関連団体の有志が制作したアート作品のひとつであるらしかったのだが、その他の展示物とはまったく異質なコンセプトと、優美にして妖しい迫力に、ひとしきり呪縛されたように見惚れてしまったものだ。
 暮れなずむ緑陰に、つかのま幻成する、あえかな女の生首……。

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 実は、その作者こそ、誰あろう山下昇平さんなのだった。
 たまたま私は、向島百物語の直前、クトゥルー本の企画で山下さんと知り合っていたのだけれど、この催しに出品しているとはつゆ知らず、まったく偶然に「クサユウレイ」と遭遇したのであった。
 かなり後になって、山下さんに確認したところ、ニコニコしながら「ボクのです」との言質を得た。

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 文庫版『てのひら怪談』の装画をお引き受けいただいた記念に、ふと思い出したのでここに記しおく。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月09日 15:29 | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年03月08日

大藪春彦賞パーティ

 夕刻より丸の内の東京會舘で開催された、大藪春彦賞ほか徳間書店三賞の授賞式と祝賀パーティに出席。最近は忙しくてなかなかこうした場に顔を出す余裕がないのだが、福澤徹三さんが『すじぼり』で同賞を受賞したとあっては馳せ参じぬわけにはいかない。
 開始時間を少し遅れて会場に入ると、ちょうど大藪賞の贈呈式が始まるところ。壇上の福澤さんは、いつものジーンズに黒服スタイルという、そのまんまの出で立ち(笑)。まことに律儀な受賞の挨拶も含めて、すべてに自分流を貫いていらして、あっぱれというかなんというか。たまたま隣にいた大森望氏(ナマ福澤を見るのは初めてとか)にもやたらと受けてましたな。

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 パーティタイムとなったので早速、福澤さんのもとへ挨拶にうかがい、『すじぼり』の担当編集者であり、小生も『闇夜に怪を語れば』などでお世話になっている編集ツ嬢@角川書店に「よかったですねー」と声をかけると、「担当した本が受賞するの、初めてなんですう」と、いたく感激の面持ちであった。
 ふと周囲を見渡せば……黒史郎氏や門賀美央子さん、デスメタル関口に『幽』スタッフOBの丹治史彦氏、なにやら熱心に話し込む木原浩勝氏と編集R、高原英理&佐藤弓生夫妻、肩にくたびれた猫のぬいぐるみをのせた怪奇小説家氏等々、せっかく晴れがましい場所に来たというのに、これではいつもとまったくかわりばえのしない顔ぶれではないか! と、そこへやはり『幽』編集の助っ人をお願いしている中野晴行氏がニコニコしながらやってきて、「例の件、直接オッケーをいただきました!」と吉報がもたらされ、思わずガッツポーズ。『幽』次号のビッグなゲストが無事に決定した模様である。

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 散会後、銀座コリドー街の酒舗で開かれた角川書店さん主催の二次会にお招ばれする。こぢんまりした店内は、すでに大盛況。メイン・テーブルには、左右に女性編集者を従えた主賓の福澤さんを囲んで、京極夏彦氏と平山夢明氏が談笑中。これではいつもとまったくかわりばえのしない以下略(笑)。
 その後『幽』関係者によるティータイム(?)を経て、ふたたび京極氏や黒氏、編集Rとともに、中華料理店で腹ごしらえ中の福澤、平山両氏と合流し、午前2時過ぎまで歓談させていただく。怪談文芸興隆の手応えを実感した佳きひとときであった。

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投稿者 東 雅夫 : 2008年03月08日 16:07 | コメント (0) | トラックバック (0)

てのひら通信(03/07)

 ポプラ文庫版『てのひら怪談』のために緊急募集した新作書き下ろし。
 3月3日の締切までに、短期間にもかかわらず、46篇の作品が寄せられました。皆さま、お疲れさまでした!
 これからじっくり拝読して、この中から何篇の作品を、どのような形でアウトプットしてゆくか、勘案していきたいと思います。

 ちなみに文庫版のブックデザインは、装幀を緒方修一さんに、装画(立体!?)を造形美術家の山下昇平さんに、それぞれお願いすることが、このほど本決まりとなりました。
 早速、斉藤さんがお二方と打ち合わせを開始した模様。
 緒方さんとは、同じポプラ社の二階堂奥歯『八本脚の蝶』で、山下さんとは、同時多発黒史郎計画や学研ムック『クトゥルー神話の謎と真実』などで、小生も御一緒させていただき、そのセンスには全幅の信頼を寄せております。
 単行本版とはまた違った、てのひら本の魅力を抽き出してくださるものと、今から愉しみでなりません。

 さて、告知が遅れてしまいましたが、ポプラビーチの「週刊てのひら怪談」が更新されております。
 今回は、崩木十弐さんの「ゴムホース」と暮木椎哉さんの「こんにちは、赤ちゃん」という「妊娠・出産にまつわる妖変」つながりの組み合わせとなりました。
 来週は、沢井良太「ピンポンダッシュ」と宮間波「呼び鈴」をお送りする予定です。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月08日 04:03 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月03日

春の幽ブックス、揃い踏み!

 〈幽クラシックス〉の2冊がビーケーワンで24時間以内出荷表示となりましたので、晴れて〈幽ブックス〉の新刊4冊、堂々の揃い踏みとなりました。

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↑こうして眺めると、右列は「森」、左列は「顔」と、
なぜか統一感があるのが不思議ですな(笑)。

 近代日本文学のお家芸だった私小説の伝統とハイカラな「奇妙な味」のテイスト、さらには近世奇談随筆の風味まで仄かに漂う、綾辻行人の連作怪談小説集『深泥丘奇談』。吸血キッシー渾身の(笑)担当作品です。
 日本幻想文学の母胎というべき「山」に分け入る人々が遭遇した霊異と怪奇の数々を、達意の語り口で活写した、新鋭・安曇潤平の怪談実話短篇集『赤いヤッケの男――山の霊異記』。担当は編集R。
 なかなか紹介の機会に恵まれない中篇怪奇小説の醍醐味を、重厚典雅な訳文で満喫させてくれる、南條竹則編訳による英国怪談小説アンソロジー『地獄』(デ・ラ・メア「シートンのおばさん」の新訳も必読! ぜひ『怪奇小説傑作集3』所収の旧訳と読み較べてみていただきたいと思います)。デスメタル関口担当。
 そして小生編による岡本綺堂の怪奇名作選『飛騨の怪談』。これも編集R担当、お疲れさん〆 本文の打ち込み作業を分担してくれたバイトくんたちも乙!

 内外・新旧の長篇、中篇、短篇、連作小説から、実話、戯曲作品まで――4冊を机辺に備え、春宵に精読されればおのずから、「怪談文芸」というものの多彩な側面とその魅力を一望のもとに堪能できるラインナップとなりました!
 また、個々のブックデザインも、一線で活躍するデザイナー諸氏による力作揃い。単行本ならではの装幀の愉しさ、「仄暗いオブジェ」としての書物の魅力をも実感していただけるのではないかと思います。
 ぜひぜひ、まとめての御購入を(笑)お勧めしたいと思います。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月03日 10:15 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月02日

無理な註文!?

 いよいよ切羽詰まってきた『怪談文学散歩』書き下ろしの調べ物で、向島の寺島図書館へ。
 ここは作家の個人全集が充実していて、しかも開架で気ままに参看できるのがありがたい。
 ちょいと必要あって中央公論社版『久保田万太郎全集』の雑纂篇をパラパラやっていたら、「無理かも……が……」と題する小文に目が留まった。

 昭和30年3月、岩波書店編『古典を読もう』に寄稿されたものだが、その中で万太郎は「無理な註文かも知れない」と前置きして、「三十冊に一冊でもいい、いやしくも明治から大正にかけての文学史に名まえをとどめた作家たち……とくに、嘗ての時代時代に、ある程度、活躍し、一応、名声をえたにかかわらず、その後、何んらかの理由で、影がうすれたり、行方を消したり、あるいは若くして死んだりした、不幸な、不運な作家たちの仕事を、この文庫(引用者註/岩波文庫を指す)のなかにとり上げてもらえないものだろうか?」と記して、次のような作家名を掲げているのだ。

 たとえば、誰か?
 童話作家以前の小川未明である。
 演劇学者以前の小山内薫である。
 水野葉舟である。
 三島霜川である。
 牧野信一である。

 思わず、大きく肯いてしまった。
 『文豪怪談傑作選』の小川未明集も、がんばります(笑)。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月02日 19:51 | コメント (0) | トラックバック (0)

春雪霏々として降る

 雛の節句の夕べ、小石川切支丹坂上の青蛙堂で怪談会が催されて……これは岡本綺堂の名作『青蛙堂鬼談』冒頭のくだりだが、作者である綺堂は、1939年(昭和14年)の3月1日に不帰の客となった。
 奇しくもその命日に、「新編・綺堂怪奇名作選」と副題する拙編著『飛騨の怪談』が発売されるはこびとなったのは、周到綿密な計画のもとに……と云いたいところなのだが、実のところ予定では5日発売と聞かされていたのである(笑)。
 藤原編集室さんの「日々のあぶく」でそれと指摘され、慌てて某アマゾンを参照したところ、早くも入荷扱いとなっていることに一驚を喫した次第。これ即ち綺堂先生のお導きでもあろうか。なにとはなしに幸先好いような気がして嬉しくなった。

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↑カバーデザインに使用されている月岡芳年の錦絵「岩見重太郎兼亮危機一髪美女を救う」は、
国書刊行会版『芳年妖怪百景』所収。

 今回の名作選の目玉というべき長篇「飛騨の怪談」は、若き日の綺堂が『やまと新聞』に連載した新聞小説である。当時の新聞小説は、しばしば掲載紙の売れ部数に直結したほど重要視されていただけに、作者の側にも、読者の興味を毎日つなぎとめるための工夫が要求された。
 このため「飛騨の怪談」も、いたって快調なテンポで波瀾万丈の物語が展開し、その内容も、当時は秘境に近かった飛騨山中を舞台に、妖怪ヤマワロによる誘拐・殺人という怪奇趣味あり、江戸深川生まれのお侠な美女と山中の洞窟で育った怪童とを中心とする哀切な恋模様あり、さらにはヤマワロの正体をめぐる仰天の奇想あり、さまざまな要素がこれでもかとばかり盛り込まれた文句なしの娯楽篇となっている。

 その一方で、柳田國男の山人研究をも踏まえつつ、ケルトの伝承に登場する妖精ピクシーをヤマワロと同定してみせるなど、内外の文献にも通じていた綺堂ならではの炯眼も光る。
 ちなみにケルトの伝承と怪談といえば(編者解説でも触れておいたが)「飛騨の怪談」には、アーサー・マッケンの「黒い石印」や「輝く金字塔」の明治日本版(!)といった趣もあるので、泰西怪奇小説ファンにも面白く読んでいただけることと思う。
 併録の戯曲「影」および「怪談実話集」(これらも単行本化されるのは史上初である)も含めて、怪奇党諸賢の御高覧を、ぜひとも賜りたく――。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月02日 12:52 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年03月01日

2008年6月、あちこちで何かが……。

 てなわけで、2日越しの打ち合わせ3連チャンに突入(笑)。

 まずは斉藤さんと某日夕刻、モツ鍋をつつきながら、ポプラ文庫版『てのひら怪談』に関する打ち合わせをあれこれ。
 緊急募集している書き下ろし新作も順調に集まっているようで何よりなのだが、さらに色々と文庫新版ならではの趣向や仕掛けを盛り込むべく、秘策を練る。

 明けて翌日。
 『幽』次号編集会議のためメディアファクトリーへ向かう途中、その斉藤さんから「例の件、御快諾をいただきましたあああ!」と、歓喜炸裂の連絡が。
 嗚呼いつものことながら、しかも先日の別件といい重ね重ね、ありがとうございます、〇〇さん!
 いったいどなたが、何を引き受けてくださったのかは、もうしばらく経ってからお披露目したいと思います(謎)。

 で、渋谷のMF会議室にて。
 6月発売予定の『幽』第9号および〈幽ブックス〉の新年度ラインナップおよび衝撃の某緊急企画および真夏の幽イベント計画およびWEB幽に関する編集会議が開催される。

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↑会議室入口に掲げられた『深泥丘奇談』の巨大広告パネル。
むむむ、気合い入ってるじゃないかー!

 『幽』次号に関しては、追い追い詳細を明かしていきたいと思うが、とりあえず第一特集では、デビュー作『赤いヤッケの男――山の霊異記』が出足絶好調の安曇潤平さんに、おおいに汗をかいていただくことになりそうである。
 幽ブックスでは、あっと驚く隠し玉も飛び出すので、お愉しみに。
 謎の緊急企画に関しては、吸血キッシーの一声で(!?)思いのほかすんなりと、懸案のタイトルが決まりそうな方向へ。お声掛けしている皆さんからも、次々と御快諾をいただいているとのことで深謝申しあげます。
 盛夏の幽イベントは、久しぶりに大がかりな催しとなるのが、ほぼ確実な情勢である。お盆前後の時期はスケジュールを空けて、お小遣いを貯めておくのが吉かも!?
 WEB幽に関しては……すいません色々仕切り直して臨みますので温かい目で見まもってやってくださいませ。

 次の打ち合わせに向かうまで時間が空いたので、MF近くのスタバにこもって、東北芸術工科大学の雑誌『舞台評論』の著者校ゲラをチェック。
 東北発の怪奇幻想文学や近現代の怪談文芸史をめぐって、えんえん2時間近く語り倒した談話記事のため、予想していた以上に細かく赤字を入れさせていただくことになり恐縮する。

 新宿駅前のポストにゲラを投函し、某書のプチ打ち上げ真最中の山下〈てのひら感挿画〉昇平画伯を急襲(笑)。
 内々に打診したいと思っていた件を、即座に御快諾いただく。
 さすがに疲弊していたのか、心地よい酔余のまま「……編者や担当編集者……リアルフィギュア……特典……」などという面妖な単語が飛び交った記憶があるのだが、今となっては定かならず。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月01日 15:13 | コメント (0) | トラックバック (0)

てのひら通信(03/01)

 …………というわけで(笑)、すでに公式サイトで発表されておりますように、第15回日本ホラー小説大賞の短篇部門最終候補に、『てのひら怪談』作家の一員である田辺青蛙さんと、第2回『幽』怪談文学賞の短篇部門大賞受賞者である雀野日名子さんのおふたりが、ノミネートされました!
 今回の予備選では、長篇部門は大接戦でしたが、短篇部門は得点集計の段階で上位4作品とそれ以下の差が大きく開き、案外すんなり決定となりました。
 ちなみに、実は長篇部門でも、思いがけない旧知の方(てのひらや幽関係に非ず。選考会の席上で初めて気づきました……)が最終に残り、これまた驚かされた次第であります。

 さて、ポプラビーチの「週刊てのひら怪談」が更新されております。
 今週は、我妻俊樹さんの「青い花」と沙木とも子さんの「向日葵の碑」という「妖かしの花」つながりともいうべき、シンボリックな味わいの両作品の共演となりました。鬼才ハリー・クラーク描くポオ「早すぎた埋葬」の挿絵を、ゆくりなくも連想させられましたな。

 次回は、崩木十弐さんの「ゴムホース」と暮木椎哉さんの「こんにちは、赤ちゃん」をお送りする予定です。

投稿者 東 雅夫 : 2008年03月01日 12:49 | コメント (0) | トラックバック (0)