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2008年12月31日

飴村 行インタビュー 「粘膜人間」が書かれるまで 1

飴村 行インタビュー
第15回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作「粘膜人間」が書かれるまで

聞き手:東雅夫 原稿:辻和人

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★ネットは見ない

東■受賞おめでとうございます。
飴村さんの『粘膜人間』は特にネットでの反響がすごいようですが、そのことはご本人も把握していらっしゃるんでしょうか?

飴村■ぼくのパソコン、ネットにつないでないんですよ。うちでは兄貴が見てるんで、ちょくちょく話は聞くんですけど、見ないほうがいいと言われて(笑)。極力見ないようにしていますが、反響がでかいということは知ってます。 

東■お兄さん……賢明な判断かも(笑)。でも、私が把握している限りでは、ネットでは今のところ批判や叩きの類がほとんどなくて、逆に「これこそ俺たちの待っていた作品だ!」といったホラー・ファンの熱い共感がたくさん寄せられているみたいですよ。それでは、ご自分では普段からネット環境には親しんでいないんですか?

飴村■ぼく、4年前までケータイもパソコンも持ってなかったんですよ。大学辞めて、10年間働いたんですけど、その間人づきあいがなかったんです。ずーっといろんな工場を転々としながら、漫画と脚本を書いてたんですよね。吉田戦車さんの『感染んです』という作品が流行っていた時期で、ああいう不条理なギャグ4コマを持ち込みしたんですけど断られて、あと脚本はフジテレビと日テレの大きい賞に出したんですけど、全部一次ではねられたんです。だんだん意欲が薄れちゃって、気づいたら仕事一本になっちゃって、ただひたすら工場で働いている日々が6年くらい続いたんですよ。

東■どんな仕事をされていたんですか?

飴村■一番長く続いたのが、台所のシンクありますよね、あれを二人一組になってダンボールに入れるんですよ。それを一日300個延々と。4年間やりました。『蟹工船』みたいな世界です。工場の中でも誰とも付き合わずに、一人でだまーって。自分の中では失われた10年と呼んでいるんですけど、周りが50代のおじさんばかりだったので、ケータイもパソコンも知る状態がなくて、家族とも10年間連絡とらなかったんです。

東■ええーッ!?

飴村■俺何やってんだろうな、と思いながらずーっと働いてました。で、4年前にうちのおやじが死にまして、「帰ってこい」という電話がきて実家に帰ったんですね。そしたら兄貴に「お前どうすんだ、歳も歳だし、やりたいことないのか」と聞かれたんで、そう言えば小説書いてないな、と思って「小説書きたい」って言ったら、わかったと。4年間猶予をやるからやってみろと言われたんです。

東■何で4年間なんですか?

飴村■もう一度大学に入ったつもりで、ということです。それで4年間家に閉じこもってひたすら書いたんです。丁度4年目に『粘膜人間』ができました。



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飴村 行インタビュー 「粘膜人間」が書かれるまで 2

★漫画と映画、そして小説へ

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東■そうすると、最初は漫画家志望だったんですか? ちょっと興味ありますね。

飴村■一作だけ残ってるんですよ、当時描いた不条理4コマ漫画の原稿。好きな漫画家は丸尾末広さん、花輪和一さん、ねこじるさんとかです。

東■おおー、いかにも、というべきか……(笑)。

飴村■ああいうきれいな絵は描けないんで、ギャグだったら通用するかな、と

東■それで吉田戦車的なものを、ね。シナリオの方はどんな感じのものを?

飴村■映画が好きで、映像の仕事をしたかったんですけど、学校も出てないしツテもないので、コンタクトできるとしたら脚本しかないかなと思いまして。お金もほとんどかからないんで、ワープロでバーッて打ってました。

東■映画では、どんな傾向の作品を?

飴村■いろいろ見ましたけど、サム・ペキンパーにハマりました。十代の頃。

東■ははは、これまたいかにも、ですねえ、不条理なバイオレンス(笑)。ホラー系はどうですか?

飴村■ゾンビものですね。ルチオ・フルチとかロメロとかがすごく好きです。

東■そのへんの趣味嗜好が、『粘膜人間』の中に一気に流れこんでいるわけですね。
ところで、大学では何をなさっていたんですか?

飴村■歯医者の大学に行ってました。堅実な仕事だからと親に進められて。

東■じゃあ、お家では、小説家志望とかいうとあまり……。

飴村■本当は芸術系の大学に行きたかったんですけど、絵描きで飯食えるのかって言われて、結局なし崩しに歯科の大学に行っちゃったんです。でも、どうしても医療というものに興味が持てなくて、自分でもうちょっと何か別のことができるんじゃないかと思って辞めちゃったんです。

東■では、お兄さんのご理解と励ましがあったから、今の飴村さんがある、と?

飴村■そうです。兄貴があの時チャンスをくれなかったら、地元で就職して小説は書いていなかったですね。

東■でも、まさに猶予期間ぎりぎりの4年目での受賞でしょう。その間には、どんな作品を書いてらしたのですか?

飴村■一言で言えば、平凡でしたね。引っ越した家の床下に死体が眠ってて、少女の霊が出てくる、というような、ごくありきたりな普通の発想でしか描けなかったですよ。

東■ホラー小説大賞以外にも応募されていたんですか?

飴村■いや、ホラ大一本です。

東■ほほー。でも、それはなぜ?

飴村■ホラーが大好きなんで(笑)。ホラーしか書けないんで。

東■その意気やよし!(笑)ある程度、傾向と対策みたいなものを立てて書いたんですか?

飴村■いやあ、最初は立てなかったですね。三作書いて全部一次で落ちて、こりゃやばいと思って考えたんですよ。例えば『パラサイト・イヴ』だったら医学の世界ですよね。『黒い家』だったら保険の世界。だけど、ぼくには何の特別な知識もないんですよ。それだったら自分で世界作って、自分でルール決めればイケるんじゃないかな、という発想で「粘膜人間』を書いたんですよ。




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飴村 行インタビュー 「粘膜人間」が書かれるまで 3

★『粘膜人間』にはあと何も残らない状態にまでアイディアを詰め込んだ

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東■ただ、世界を決めるといっても、いろんなパターンがあるわけで、いきなりこういう過激な、河童三兄弟が出てくるとか(笑)、こういう発想はどこから来ているんですか?

飴村■それは、三年間落選が続いてものすごいストレスが溜まっていたと思うんですよ。それが発酵してぐちゃぐちゃになって、噴き出すようにして、こういうストーリーになったんじゃないかと。自分でもよくわからないですね。

東■グッチャネな感じで噴出したと(笑)。雌伏の三年間、どういう日常だったんですか?

飴村■朝起きてずーっとパソコンに向かって、昼寝して、またずーっとパソコンに向かって夜中に寝て、という感じです。

東■煮詰まったりしませんでした?

飴村■しました。将来のこと考えると怖くなるんで、現実逃避で映画見たり音楽聞いたりしてました。

東■そうすると、受賞の知らせを受け取った時は感慨があったでしょう。

飴村■受賞っていうよりも最終候補に残った時ですね。3月6日の朝10時くらいに家に電話があったんですよ。母親が部屋に来て「角川さんからだ」って言われて。その時まで完全に落ちたと思い込んでたんです。ぼくネット見ないんで、兄貴に一次二次、名前あったら教えてくれよって頼んでいたんですけど、何も言ってこなかったんですよ。うちの兄貴がただ忘れていただけなんですけど(笑)。だから全然知らなくて、兄貴が気を使って落選したことを言わないんだなと思っていたんです。そんな時の突然の電話だったんです。掛けてきたのはホラー文庫の編集長だったんですけど、「『粘膜人間』残りましたよ」って言われた時に、何かもうくらっと眩暈がしました(笑)。何なんだろう、これは。何で受話器の中から『粘膜人間』という言葉が聞こえるんだろう、と思って。すっごい不思議でした。だから長編賞獲った時よりも最終に残りましたと言われた時の方が、喜びが大きかったですね。

東■それから本選までの時間が、さぞや大変だったんじゃないですか。

飴村■いや、緊張しましたね。最後だったんで。『粘膜人間』には、あと何も残らない状態にまでいろんなアイディアを詰め込んだんで、これ落とされたらもう書けないな、と。長編賞獲ったという電話は、嬉しいというよりもほっとしました。

東■確かにいろんなものが詰め込まれている感じはありますね。じゃあ、お兄さんも受賞の時には、さぞかし喜ばれたでしょう。

飴村■ぼくよりもテンションがあがって(笑)。両手を挙げてうぉーっと(笑)。

東■お兄さんとは何歳違い?

飴村■2つです。

東■じゃあ、随分近いですね。外見とか性格も似てたりするんですか?

飴村■全く違います。うちの兄貴は格闘技が大好きで、極真空手とかやってるんです。ぼくはナヨナヨした文系なんですけど、兄貴はガンガンの体育会系なんです。

東■体育会系の歯医者さん(笑)。それは頼りがいがありそうですね。他のご家族の反応はどうでしたか。

飴村■母親なんですけど、読ませてないんですよ。引くのがわかってるんで。怖いのがダメなんで、いまだに読んでないです。

東■確かにねえ。女子中学生を拷問したり処刑したりはねえ……(笑)。お母さまにはちょっと辛いかも。周囲の反響はどんな感じですか?

飴村■親戚は、受賞が決まった時は、ものすごく盛り上がったんですよ。「でかしたぞ、やったな」と電話ががんがんかかってきたりしたんですけど、本が発売された次の日からぴたりとそれがなくなってしまいました(笑)。みんなドン引きしたんでしょう。いまだに作品の中身については何にも言われてないです。



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飴村 行インタビュー 「粘膜人間」が書かれるまで 4

★西村寿行の影響

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東■まあ、地方はそういうところはシビアみたいですからね。『粘膜人間』は、たまたま一次で私の箱に入っていて、もう文句なく「これだ!」と。やはり私の一次の箱に入っていた岩井志麻子さんの『ぼっけえ、きょうてえ』以来の衝撃でした。ただ、きわめて個性的というか読む人を選びそうな作品なので、予備選や最終選考でどうなるかはかなり危惧していたんですけど、無事に受賞して良かったです。授賞式の時にお話しさせていただいたんですが、西村寿行がお好きだったとか?

飴村■大好きです。

東■それ聞いて、「あっそうか」と。一見すると、もう少し後の世代の菊地秀行さんとか夢枕獏さんとかの影響かなとも感じたんですが、夢枕・菊地以降の伝奇バイオレンスというのは、もっとあっけらかんとしてるじゃないですか。それに対して寿行作品に特有の、一種こうどろどろとした怨念とか土俗の情念、そういうテイストと、言われてみると確かに近い世界だなあ、と。そういう意味でも面白く読みました。寿行を読み始めたのは、中学くらいからですか?

飴村■そうです。中三の時に『滅びの宴』という作品に出会いまして。これが初めて読んだ大人の小説だったんですけど、ものすごい衝撃を受けたんですよ。頭をガツンとやられまして、のめり込みました。西村さんの世界って徹底してますよね。女子供でも絶対に容赦しない。主要登場人物の中に女性がいる場合、ほぼ100%の確率でレイプされる(笑)。そのすさまじい世界観に圧倒されました。

東■確かに、寿行的な世界にもフォークロアというか、『粘膜人間』は河童ですけど、そういう類のものも結構多いですもんね。私もホラー・ジャパネスクなんて呼んでいますが、ああいう傾向のものの一つの原点になっているのが西村寿行なので、それからだいぶ時代を経て、伝奇バイオレンス・ブームが来て、それがまた終熄した今になって、こういう作品が新たに出てきたってことで、非常に面白いなと思っています。一方で寿行の影響とは別に、飴村さんならではの、さっきおっしゃっていた「世界を作る」という感覚がうまく結びついて個性が生まれていると思うんですね。
ところで、応募の時とちょっと書き替えたところがありますが、選評で指摘されていた、時代設定を未来にしないほうがいいということに関してはどうですか?

飴村■言われてみればそうだと思いました。やっぱり一章二章と比べて、三章はレベルダウンというか、テンションが低いような気が自分でもしてたんで、「ああ、やっぱりそうかな」という感じがしましたね。

東■難しいですよねえ。伝奇系の作品は、話を広げていく部分が面白いんだけれど、まとめにかかると途端に失速する傾向がありますから。その意味では『粘膜人間』は、最初の勢いで最後まで突っ走っちゃった感じがします。ネットでは続編を前提とした作品なんじゃないかという意見も出てるみたいなんですが、ご本人的にはどうですか?

飴村■まだ、ちょっとわかんないですね。そういう風には考えてないです。これはこれで一つまとまったものというつもりです。

東■ご自身としては、どの部分が特に書いていて力が入りましたか?

飴村■清美が髑髏を打たれて見る幻覚のシーンは、二日くらい考えました。水責めで結構残虐度のハードルがあがったんで(笑)、それを遥かに超える描写じゃないと読んでる人が納得しないと思ったんで、かなり悩みながら書きました。昔おやじから、人間は串刺しになっても即死しないで、二、三日生きてるという話を聞いたことを思い出したんですよ。それをヒントに書きました。

東■西洋の拷問ものの研究書とか、見たりしませんでしたか?

飴村■一応参考にはしました。

東■どうですか、そういうことを延々と考えている最中というのは?

飴村■その時は夢中だったんですけど、今から考えると自分でも恐いですよね。「俺、よくこんなこと考えたな」と(笑)。自分でも思いますよ。

東■「河童」をキャラクターに持ってきたというのは、どういう?

飴村■これは「あとがき」にも書いたんですが、夢を見まして。河童の死体が田んぼのあぜ道に落ちてて、その情景が起きてからも記憶に焼きついてて、これ小説に使えないかなと思っていたところに、丁度この話を思いついたんで登場させました。

東■別に個人的に河童が好きだとか思い入れがあるとかではないんですね?

飴村■ではないです。あの夢がなかったら、別の何かの生き物が出てきたと思います。

東■河童のお告げですかね(笑)。福島って河童の伝承はあるんでしたっけ?

飴村■いや、岩手県の『遠野物語』の地方にはあるみたいですが、福島にはないです。

東■じゃあ、小さい頃から土俗的な伝承に触れたりしていたわけではなかったんですね。

飴村■特にないです。

東■では、本当に夢が原点というか、そこからあれだけの世界を……。

飴村■芋づる式に引き出してきた感じですよね。

東■それから、あの超バイオレンス小学生の雷太、あれはどこから思いついたんですか?

飴村■あれは、夢で河童の死体を見た時に、誰が殺したんだと思ったんです。で、初め何か筋骨隆々とした30代くらいの人を考えていたんですが、「これ、小学生だったら面白いな」と。それで巨大小学生というのを作ったんですよ。ウケるかなあと思って。

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飴村 行インタビュー 「粘膜人間」が書かれるまで 5

★今後もホラー一本槍で

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東■そのへんの発想が面白いなあと思います。普通に考えるとバカバカしいじゃないですか。河童と小学生が殺しあうなんて。それが読んでいて「そんなもんかな」と思わせて、あまり違和感がなく読まされてしまうのは、飴村さんの筆力ゆえ。一種独特な才能をお持ちなんだろうなと思います。
先ほど、自分はホラーしか書けないとおっしゃっていましたが、今でもそうですか?

飴村■今でもそうです。はい。

東■今後もホラー一本槍でいこうと。

飴村■こういう世界以外書けないんで。恋愛小説とか読んだことないし、ミステリーもほとんど読んだことがないんです。だからこの路線で。

東■ともすれば他のジャンルに手を出す作家が少なくない中で、すばらしい覚悟ですね(笑)。
もう2作目の準備はされてるんですか? 差し支えない範囲で教えていただけますか。

飴村■『粘膜蜥蜴』っていう(笑)

東■やっぱり受賞作のような感じの……。

飴村■粘膜系のものです。ちょっとエログロ度は下がるんですけど、エンタメ度がぐーっと上がるみたいな・・・。

東■ところでタイトルの「粘膜」というのは、イコール河童ってことでいいんですか?

飴村■これはですね、粘膜って言葉の響きにどこか淫猥というか、卑猥な響きとグロテスクな響きがあると思うんですよ。タイトルつけようとした時に、河童もそうなんですけど、出てくる登場人物全てが、粘膜という言葉に象徴されるような存在なのかなあと思いまして、それで『粘膜人間』というタイトルをつけました。つまり登場人物の全てが『粘膜人間』なんです。

東■『粘膜蜥蜴』は、いつごろ刊行予定で?

飴村■6月か7月か、夏の予定です。

東■ご本人としては、長編短編どちらのタイプだとお思いですか?

飴村■ぼくは長編だと思います。短編って書き方もよくわからないし、書いたこともないです。

東■では応募も、短編ではしたことがない?

飴村■ええ、全部長編です。

東■シナリオも、みんなこういう傾向だったんですか?

飴村■そうです。今から考えると無謀だったんですけど、いわゆるペキンパー的な、きつめのバイオレンスものをフジテレビのシナリオの賞にガンガン送ってました(笑)。俺がテレビの世界に新しい風を吹かせてやるって。もちろん全然ダメでした。

東■時代的にもちょっと厳しい感じですよねえ。さっきも言ったように、伝奇バイオレンスもある程度、出尽くした感があるでしょう。ホラー自体もここのところ沈滞感があった。そこに今また、こういう形で出てきたものが、若い世代の中で受け入れられていく感じがする。時代は繰り返すというか、昔の伝奇バイオレンスで当時の読者が盛り上がっていったのを、また飴村さんの活躍で、そういう方向へ進んでいくような予感もします。
ところで、ホラー大賞に応募する以前は、小説は書いてなかったのですか?

飴村■ええ。これが4作目で他は全然書いてないです。

東■おや、そうですか。文章自体がすごくしっかりしているので、随分書きなれていらっしゃるような印象を受けていました。では、もっぱら読むほうだけで小説の書き方を習得されたんですね?

飴村■高校時代の西村ワールドの体験がなければ多分書けなかったと思うんですよ。

東■で、筆名が西村寿行の「行」だという(笑)。「飴村」はどこからきたんですか?

飴村■飴玉の感じのインパクトが、ぱっと見で、頭にすっと入るかな、というのと、昔「M.M.M」という劇団に飴屋法水さんという方がいたんですよ、名前がすごく好きだったんでそれも入ってます。

東■丸尾末広さんたちと一緒にやっていたこともある方ですね。なるほど、そうか。古風な女子中学生が出てきたりするレトロな感じは、丸尾さんたちの世界と通じるものがあるように思います。
『粘膜人間』は過激なエログロ描写が評判になって、本の売れ行きも良いようですが、授賞式では本人の堅実なサラリーマンみたいな姿が(笑)意外な印象で受け取られていたようなんですが。

飴村■貴志(祐介)さんから、「君、金融の仕事をしてる人みたいだね」と言われたんですが、そういうキャラもいいのかな、と。そういう人がグチャグチャのホラーを書いていてもいいのかなと思います。

東■いかにも! という風貌よりいいのかもしれませんね。最後に辻さんからは何か?

ビーケーワン辻■個人的興味なのですが、あの「毒猫」っていうのはどこからきたんですか? 強烈な印象を受けたんですけど。

飴村■あれはですね、大学時代に軽音楽部に入っていたんですよ。で、友達のバンドで「毒猫」っていうのがあったんですよ。そこから取りました。軽音楽部では一応ベースをやっていたんですが、酒飲んで騒いでるだけでした(笑)。

東■他社からもオファーがきているようですし、これから今まで溜め込んでいらしたものが一気に解放されていくようで、楽しみです。

飴村■粘膜人間的な世界かどうかはわからないですけれど、とにかくホラーで押していきたいと思っています。

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田辺青蛙インタビュー 「生き屏風」が書かれるまで 1

田辺青蛙インタビュー
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「生き屏風」が書かれるまで

聞き手:東雅夫 原稿:タカザワケンジ

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★実感はまだ沸いてません

──このたびは受賞おめでとうございます!

田辺■ありがとうございます。

──授賞式を終えて、どうですか? 感想は。

田辺■まだ実感が沸きませんね。

──まだ沸きませんか?(笑) 本も出ましたけど。

田辺■でも、まだ緊張しているので。

──今回の『生き屏風』には受賞作のほか、その続編ともいえる2編が収録されていますが、その2編は受賞後に担当編集者と打ち合わせをしてから書き始めたんですか?

田辺■そうですね。まさか受賞するとは思っていなかったので、受賞作には伏線を放り出したままの部分があったので、それを回収しつつ、説明しきれなかったところを説明しつつ。世界観を補填したいな、と思いつつ書いていきました。

──編集者は「生き屏風」のどのへんがいいと言っていましたか?

田辺■キャラクター的な世界が面白い、とおっしゃってましたね。これまでのホラー大賞受賞作とはちょっと違う感じのところがいいと言っていただけました。でも、ホラー的というよりも、どちらかというとファンタジー。読んでいただいた方にも「中華ファンタジーだと思った」と言われたりしました。

──大森望さんも日刊ゲンダイの書評(今週のマイベストブック・2008年11月3日)に「中華ファンタジー風」と書いていましたね。でも、私も解説で書いたんですが、「聊齋志異」から持ってきているイメージもありますけど、話のベースにあるのは和風ですよね。

田辺■まったく中華を意識していなかったので、言われてみるとそうかなあ、と思いました。ビーケーワンさんの特典にも書いたんですが、書いていた当時、「源氏物語」を読んでいて、六条御息所のところで、これを怪談にしてみようと思ったんです。でも、作品を読んだ人でそういうことを言ってくれる人は誰もいなくて、まだまだだなあ、と(笑)。

──これを読んでも源氏物語を連想する人はいないかもしれないですね(笑)。どのへんが源氏物語を意識したところですか?

田辺■「源氏物語」って女の恋愛のドロドロの部分があるじゃないですか。私は個人的には、恋愛のドロドロ話を自分なりに納得できるかたちに収められないかな、と思って。

──では、「生き屏風」の次に収録されている短篇「猫雪」の次郎は光源氏的なキャラだってことですか?

田辺■いや、次郎は設定をニートにしようって思ってただけで別にモデルキャラはいないです。
奥方は夫に素直に気持ちを伝えれない女性ってところを、ちょっと意識しましたね。
ビーケーワン怪談大賞で佳作を受賞した「薫糖」は宇治の橋姫を元にした話です。今年は源氏物語が書かれてから1000年。
物語の舞台となった場所が住んでいるとこの近所なせいか、話を書いている途中パッと時折浮かぶ情景や言葉は源氏物語と関連していることが多いです。



★「てのひら」から作家デビューへ

──やのまんが出している「ようかいどうかわらばん」でいろいろな方にインタビューをされていたこともありますよね。

田辺■それで色んな作家の方ともお話が出来まして。

──あれはどういうきっかけで?

田辺■妖怪イベントが境港でありまして、そのレポートを「ようかいどうかわらばん」の読者コーナーに送ったんですよ。あれに載ると、やのまんが出しているパズルとかがもらえるよ、と友だちから聞いて。丸い妖怪パズルがほしかったんで「チャーンス!」と思って。

──それが商業誌デビューだったんですね。

田辺■そうですね。私は、もともと人と話をするのが好きで、しかもミーハーなので、自分が興味がある人に会って話を聞くということを「ようかいどうかわらばん」というメディアを使ってできないかなあ、と思ったんです。

──それが「青蛙の妖怪談話」というインタビュー連載になったと。それをやっているうちにビーケーワンの怪談大賞に応募して、『てのひら怪談』に作品が収録されたんですね。受賞の言葉の中でも「てのひら」のことを書いていただきましたけど、てのひらは800字。原稿用紙にして2枚ですけど、「生き屏風」は長いですよね。

田辺■応募規定が50枚以上で、たしか51枚。ギリギリでしたね。本にするときに書き加えているので、80枚前後だと思います。

──てのひら怪談に比べて、25?40倍の文字量ですが、書いてみていかがでしたか?

田辺■最初の5枚がすごくキツかったです。原稿用紙2枚以上は長いという感覚がしみついていたんです。でも、「青蛙の妖怪談話」でインタビュー記事の原稿を書いたので、会話文だったら続けて書けると思って、一人で会話を続けながら書いていきました。会話を先に書いて、その後に情景描写を入れていけば50枚イケるんじゃないかって。「生き屏風」に会話が多いのはそういう理由ですね。
 でも、実際に書いてみるとインタビューとはまったく違いました。一人チャットは不自然になってしまう。それで、落語のCDをかなり聞いて参考にしました。落語の「立ち消え線香」という演目がかなり好きで。あれも恋愛に関する、幽霊が出てくるお話なんですけど、聞いたりしながら「いつかこういう話が書けるようになるといいなあ」と思ってました。

──なるほど。「生き屏風」は落語が影響を与えているんですね。

田辺■会話文を続けていくと、「と誰々が言った」ってしょっちゅう説明していくとすごくカッコ悪いので。かといって、登場人物によって必要以上に口調を変えると不自然になってしまって。最初は関西弁でしゃべる人物と標準語でしゃべる人物にしてみようとしたりもしたんですが、うまくいかなかったですね。いままで800字以外にはまったく文章を書いてこなかったので、800字という文字数以内だからごまかせた部分があったんだなと思いました。

──加筆にあたって編集者からどんなアドバイスを受けましたか?

田辺■異世界ファンタジーみたいな感じで進めていっているんですけど、やりすぎると別のジャンルになってしまう──SFとか──。それに、場面の説明だけで話が終わっちゃうみたいになってしまったので、そのへんのバランスについてアドバイスされました。あとは本当に基礎的な、てにおはを直すとか、二重敬語が多いとか(笑)、文章的なことですね。「帰国子女だから日本語がヘンなんです」って言い訳したら、水沫(流人)さんは「ブラジルに長くいたのに、あれだけすばらしい文章を書いているじゃない?」と言われて、言い訳は言い訳だなーって自分で思いました。
 同じホラ大作家で、超短篇のつながりで、デビュー前からオフ会なんかでお会いしたことがあった森山東先生に「私、日本語がヘンなんですよ」と相談したら、ちくま文庫の「文豪怪談傑作選」(東雅夫・編)の三島由紀夫の巻を読書会で渡してくれて、「ここからスタートするといいよ」って。

──それはすばらしいアドバイスですね!

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投稿者 coolmint : 2008年12月31日 11:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

田辺青蛙インタビュー 「生き屏風」が書かれるまで 2

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★授賞パーティで綾波のコスプレ

──「幻想文学」の創刊が1982年。田辺さんの生まれた年ですよ。田辺さんは幻想文学の申し子のような人ですね(笑)。ところで、今年のホラ大の授賞式には、めずらしく、歴代の受賞者が集まりましたね。先輩作家の方たちからいろいろと聞きました?

田辺■はい。2年間のうちにどれだけ書けるかが大事ですよ、と言われたり。ホラー大賞という大きな賞を受賞したことで、過去の歴代受賞者と比較されるから、自分のスタンスと位置を確保できるかが大切だ、というお話とか。朱川湊人先生が「作家は孤独です一人で闘わなければいけません」とおっしゃっていたのが印象的でした。後半は特撮の話で盛り上がりましたけど(笑)。

──授賞式の後のパーティでは、今日も着てきていただいた綾波レイ(『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクター)のコスプレにお召し替えしていらっしゃいましたけど、どうでした?

田辺■まず、控え室から出てきたら、編集担当者の三浦さんが泣きそうな顔をしていました。

──それはまたなんで?(笑)

田辺■思うところがあったんでしょうね(笑)。授賞式とは関係ないふつうの人たちがこっちを見て、ぎょっとしていました。まるでクマに会った人のような反応でした。理解できないものに遭遇したときの人間の顔をしていましたね。でも、さすがプロだと思ったのはホテルマンの方々で、顔色ひとつ変えず「お飲み物はいかがですか?」って話しかけてくれました。

──後で、裏に回って「なんだよ、あの格好!」って言ってるんですよ、きっと(笑)。

田辺■会場にはいると、京極さんがいて「うわー」って顔して。みなさん、しばらくは何も言わず、少したってからツッコんでくれるって感じでした。造形してくれた山下(昇平)さんの力がすごくて「どうやってできてるの?」と聞かれることが多かったですね。ホラー大賞は角川書店なので、エヴァンゲリオン関係者がけっこう多くて、「ニュータイプ」の編集者がやってきて「触っていいですか?」「いいですよ」って。

──コスプレをすることは、田辺さんにとってどういう意味があるんですか?

田辺■特別な日に人とは違う衣装を着るっていうことが高校くらいからあったのと、美術系の高校に通っていたので。美術系って人とは変わっているほうがいい、っていう価値観があるんですよ。
あと素の自分を見せるのが不得意だからかも知れない。

──学校はニュージーランドでしたよね。

田辺■高校、大学がニュージーランドです。学校には素でおかしい人がけっこういましたね。それに大学時代の担当教授だったインド人の先生が「個性か、仕事か、主張か、三つのうちどれかでアピールできない奴はダメだ!」と言っていたんですよ。

──大学では何を専攻していたんですか?

田辺■シルクスクリーンです。横尾忠則を研究していたんですが、インド人の先生が横尾忠則のファンだったので、かわいがってもらいました。

──どうして横尾忠則が?

田辺■好きだったんです。卒論も横尾忠則と三島由紀夫の「薔薇刑」を絡めて書きました。だから、森山東先生から三島から読みなさいと言われたのは不思議な縁だなと思いました。

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★「生き屏風」シリーズのこれから



──さっそく、角川のホームページで、シリーズ化決定! って書いてありましたね。

田辺■いま書いているのが、連作の短篇ですね。伏線を回収していくという感じです。皐月の仕事が、よそからきたよくないものから守るという仕事をもらって、県境に住んでいる、ということになっていますが、その仕事が出てこないので、そのあたりのことも書いてみたいですね。

──ふつう、妖怪モノで、共同体を外的から守るというと、鬼太郎みたいに、打ち負かす、というイメージで思われがちだと思うんですが、当然、違うわけですよね。

田辺■漠然としたもので、神社みたいなものです。

──神霊的な意味での防御を担っている存在?

田辺■虫送りをしても虫がわくことはあるし、初詣で健康を祈願しても病気になることもある。でも、神社はあったほうがいいし、祈りがかなえられなかったからといって、御利益に対する信頼感が失われるわけではないですよね。本格的に守れているかどうかわからない、中間的な存在。でも、お化けは長く生きているから、相談事があったら行くよ、みたいなスタンスで考えているんですよ。

──そのへんはちょっと曖昧ですね。これから書いていくことではっきりとするんでしょうけど。

田辺■でも、悪いモノが目に見えるかたちできて、それを追い払うということになると、ただの妖怪バトル小説になってしまうので、それは私の中では違う。まじない師みたいな、拝み屋に近いスタンスで考えていて。

──そこを上手く書くとオリジナリティが出てくるでしょうね。皐月と馬の関係も気になりますね。

田辺■斎宮跡で出土した土馬からとっています。魔除けのために、馬のかたちをわざわざつくって、壊してから埋めた。斎宮の博物館に行ったときに、首だけない馬があって、それが絵馬につながっていると聞いて。

──そのあたりをうまく物語に織り込むとさらに面白くなっていきそうですね。

田辺■ただ単にお化けが出てきて、騒動を解決するというよりも、お化けが中途半端な位置にいる。ストーリーテラー的な部分を兼ねつつ、主人公でもあるという位置に皐月にはいてほしいので、逆にあんまり決めていません。お化けで、長く生きている。不老ではあるけれど不死ではない。それ以外の設定はあえて明らかにしていないんです。

──物語の舞台はどこをイメージしているんですか?

田辺■ニュージーランドに留学していたときに住んでいたフイヤという街です。映画の『ピアノレッスン』の舞台になったところの近くで、映画のママ、一年中、寂しい、曇っている、雨が降っている風景で、浜辺に鯨の死体が打ち上げられたりするようなところ。マオリ族の人たちが地鎮の儀式をしていたりするのを眺めたり。そこをイメージしていますね。

──風景はニュージーランド、でも、設定は日本なんですね。

田辺■設定は日本です。いまでも、田舎に行くと何時代だ? みたいなところってあるじゃないですか。結構地元がモデルの箇所もあるんですが、私の住んでいる所には海がないので、昔住んでいたフイヤを思い出しながら書いている部分もあります。
群青色の暗い海なんですけどね。でも、夕方はすごくきれいな夕焼けで、すごくあざやかな色に染まるんですよ。
普段沈んだ色をしているから、夕方のその一時が本当に輝いて見えて……そこに生き屏風が沈んでいく。頭に浮かんだイメージを小説にしたって感じもありますね。

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投稿者 coolmint : 2008年12月31日 11:01 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月30日

【公募】今年もやります!「私のベスト5」

【おしらせ】今年度の「私のベスト5」は2008年12月31日をもって募集を終了しました。御投稿くださいました皆さま、ありがとうございました。

 さて、ビーケーワン怪談大賞の結果発表までの時間を利用して、今年も読者の皆さまによる「私のベスト5」を開催したいと思います。

 第6回の応募作品725篇の中から、貴方が特に感銘を受けた作品、高く評価する作品5篇を選び、その理由を記してください。
 方式は昨年と同じで、このエントリーのコメント欄に、作家名・作品名と選出理由をお書きください。
 投稿名はハンドルでもかまいません。コメント欄はメールアドレス無しでも書き込めます(投稿の際に「確認」ボタンを押すとエラーになることがありますので、最初から「投稿」ボタンを押してください!)。
 締切は未定ですが、とりあえず8月いっぱいは続けようかなと思っています。

 なお、昨年も申しあげましたが、「私のベスト5」は人気投票ではありません
 文芸作品の価値は数値に還元できるものではない、というのが『幻想文学』創刊以来の小生の信念であります。
 たとえ最初は少数意見でも、その批評に揺るぎない真実が含まれていれば、やがてその意見は多くの読み手と書き手の心を動かし、浸透してゆくに違いないのですから。
 われわれ怪談大賞の選考委員も、多様な読者による多様なチョイスを拝読することを、とても愉しみにしております。
 怪談文芸の未来に真摯な関心を抱く皆さまの御参加・御協力を切望する次第です。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月30日 08:30 | コメント (18)

2008年12月29日

「東雅夫のイチオシ棚」 更新

ビーケーワンの辻です。
「東雅夫のイチオシ棚」 更新しました。
百鬼夜行絵巻の成立に光を当てた小松和彦の快著『百鬼夜行絵巻の謎』、話題になった『幻影城の時代』に大幅増補を施した完全版、「江戸時代の円盤飛来事件」と言われる「うつろ舟」の謎に迫る加門 正一著『江戸「うつろ舟」ミステリー 』と、ユニークな視点の本がこの年末に続々刊行。お正月の楽しみが増えますね。小説では、あの『リング』の鈴木光司の待望のホラー長編『エッジ 上下』にご注目を。
既に予約好調の東雅夫編『リトル・リトル・クトゥルー』は、豪華特典つきです!
















投稿者 coolmint : 2008年12月29日 10:31 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月27日

イベントも続々

 山下画伯といえば、先日開催された西荻ブックマークの「超短編の世界」イベントでも、フル回転の大活躍でしたな。

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▲アトリエ超短編入選者に授与された画伯謹製トロフィー。

 開会直前におじゃましたら、すでに会場は大入りの盛況。後ろのほうでこっそり見学させてもらおうと思っていたのですが、案内の方に「こちらへ」と連行されたのは、なんと正面最前列(汗)。お隣で歓談中だった画伯や岩里藁人さんと共に、出演者の熱いパフォーマンスの数々を、かぶりつきで(笑)鑑賞させていただきました。

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▲左から佐藤さん、山下画伯、迫水さん、タカスギさん、松本さん

 司会進行役のタカスギシンタロさん(祝新婚)と松本楽志さん、ゲストの佐藤弓生さんによる鼎談に始まり、超短編作家有志による作品朗読、山下画伯のオブジェに触発された作品を公募した「アトリエ超短編」の入選作品発表、迫水由季さんによる優秀作品朗読……と、盛りだくさんの内容で、ミニマムな掌篇を書いて読んで聴いて語る悦びを実感させてくれたように思います。企画・世話役の添田健一さんや、りきさんもお疲れさまでした。

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▲打ち上げの席などで頂戴した品々。左から秋山真琴さん発行の回廊文庫『幻視コレクション』(ゲスト参加の黒史郎さんはじめ、てのひら怪談作家の皆さんも多数寄稿している千文字掌篇の競作集)、岩里藁人さん制作のてのひら系作品栞(上から『生き屏風』『竜岩石とただならぬ娘』『案山子の娘』)、そして金子みづはさんにいただいた煎餅「てのひら日記」。


 続いては西荻イベントの一週間後に開催された、小生と『夜想』の今野裕一編集長によるトークショー「中井英夫の魅力を語る」。
 これはパラボリカ・ビスで好評開催中の建石修志展にちなんだイベントのため、建石画伯も客席から参加される形で進められました。

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 会場には絵画作品ばかりでなく、建石さんが装画や装幀を担当された数々の書物も展示されていて、当然のことながら『幻想文学』をはじめ、かつて小生が手がけた懐かしい単行本なども並んでおり、おのずから話も回顧モードに。建石さんの描き下ろし新作が毎号表紙を飾った『幻想文学』創刊前後のことなどを中心に、お話しさせていただきました。


 なお、建石修志展は好評につき会期が延長され、1月18日まで開催されるそうです。未見の方はぜひ、会場にお運びくださいませ!

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▲建石修志画伯、はるばる奈良から駆けつけた鏡花賞作家の寮美千子さんと共に。
ちなみに寮さんの長篇ファンタジー『夢見る水の王国』が来年、角川書店の〈銀のさじ〉叢書から刊行されるそうです。これは愉しみ!



投稿者 東 雅夫 : 2008年12月27日 12:30 | コメント (2) | トラックバック (0)

ゾクゾク到着中

 まずは、いつも何かとお世話になっている山下昇平画伯から、思いがけないクリスマス・プレゼント(!?)が到着。

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 過日、小生が戯れに「この際『編集長 東雅夫』というロゴのTシャツでも作ろうかなー」と漏らしたら、早速「どんなのがよいですか?」とデザイン案が送られてきて、軽い気持ちでお答えしたところ、なんとまあ、こうしてプリントされた現物を、たちどころに作成していただいたのでした(恐縮)。
 実はもう1着、ゴスというかホラーなデザインの別バージョンも頂戴したので、そちらは年明けに予定されている黒史郎さんとの『リトル・リトル・クトゥルー』対談@ダ・ヴィンチで、お披露目したいと思っています(笑)。
 山下さん、ありがとうございました。


 続いては、近ごろ話題の大冊『幻影城の時代・完全版』もドーンと到着。

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 いや、小生はアンケートに答えてるだけなんですけどね(笑)。
 単行本化にあたり、『幻影城』ゆかりの泡坂妻夫、栗本薫、竹本健治ほかの諸作家による書き下ろし作品やエッセイ、島崎博編集長訪日記事などが増補されています。
 石井春生さんをはじめとするマニアな皆さんの熱意の結晶ですな、これは。


 もう一冊、『KAWADE道の手帖 吉屋信子』も到着。

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 少女小説の源流にして「女性の文学」の先覚者でもあった吉屋信子の全容を、『花物語』ほかの短篇作品復刻やインタビュー、論考などで展望するムックです。
 小生は『文豪怪談傑作選 吉屋信子 生霊』を編纂した御縁で、「吉屋信子の怪奇幻想小説について」という一文を寄稿しております。
 こちらもよろしく御高覧のほどを。






投稿者 東 雅夫 : 2008年12月27日 08:54 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月26日

鬼が笑う話

 恒例の来年の予定を、いくつか。
 まずは新年第1弾としまして、1月27日に『リトル・リトル・クトゥルー』が学研から発売になります。

 続いて2月25日(予定)に、その名も『怪談列島ニッポン』と銘打つ怪談小説競作集が、MF文庫ダ・ヴィンチから発売されます。
 これは黒史郎、宇佐美まこと、雀野日名子ら『幽』怪談文学賞の受賞作家6名が、有栖川有栖、恒川光太郎ほか豪華ゲスト作家たちと同一のテーマで腕を競うという、あたかも「怪談ぶつかり稽古」(ちょっとちがうか……)のごとき競作集であります。詳細は追ってまた。

 さらに3月19日(予定)には、『お岩――小山内薫怪談集』が、〈幽クラシックス〉の新刊として発売されます。
 近代演劇の偉大なる父・小山内薫が遺した史上最恐の四谷怪談小説『お岩』が、約百年を経て、遂にその全貌を顕わすのです!(『飛騨の怪談』は初復刊でしたが、『お岩』は新聞連載のみで『小山内薫全集』にも未収録のため、なんと史上初の単行本化となります)
 ほかに怪談実話集や怪談演劇論集を併録。こちらの詳細もまた更めて。

 そ、そして……おそらくこの間のどこかのタイミングで、目下鋭意執筆中(まだかよ!)の『怪談文芸ハンドブック(仮)』が〈幽ブックス〉の一冊として投入されるはず、です、たぶん。

 ちなみに〈幽ブックス〉からは他にも、有栖川有栖の『幽』連載「鉄道怪談」をまとめた待望の短篇集『赤い月、廃駅の上に』や、あの加門七海をも凌ぐと噂される豊富な怪異体験の持ち主・立原透耶の書き下ろし怪談実話集が、2月から3月にかけて刊行される予定です。

 ……というわけで来る2009年は、年明け早々から、まるで盛夏のごときラインナップでぐいぐい飛ばして参ります。『幽』創刊5周年を記念した特別企画も、深く密やかに進行中!?
 いずれも当ブログにて随時、進展具合を御報告いたしますので、よろしく御注目のほどを!

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月26日 16:10 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月22日

『押入れのちよ』文庫版発売

 荻原浩さんのジェントル・ゴースト・ストーリー短篇集『押入れのちよ』の文庫版見本が届きました。
 小生、巻末解説を寄稿しているほか、文中の一節を帯に引用していただいております。次の一文です。

この世ならぬ怪異な出来事を描いて、涙あり笑いあり、人の心を感動に打ち震わせる――それもまた、まぎれもない怪談やホラーの醍醐味なのだということを、本書に収められた荻原作品の数々は雄弁に実証しているといって過言ではあるまい。

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 ちなみにこの本、単行本版も文庫版も、帯の惹句(担当編集者のMさん発案とか)が秀逸で、思わずニヤリとさせられます。並べて載せてみましたので、御注目のほどを。

 御存知の向きも多いでしょうが、ジェントル・ゴースト・ストーリーの本場英国では、ちょうど今の時期が怪談シーズン真っ盛り。名作怪談の多くは、雑誌のクリスマス特集に掲載されたものでした。
 本書もまさに、今の季節にピッタリな、怪しく、哀しく、うっすらと心温まる物語集です。聖夜のお伴に、ぜひ!



投稿者 東 雅夫 : 2008年12月22日 10:00 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月19日

『リトル・リトル・クトゥルー』カバー完成!

 長らくお待たせをいたしました。
 学研より1月26日発売予定の『リトル・リトル・クトゥルー』のカバーデザインが完成です!

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 ようううやく、ここまで漕ぎつけましたな……。
 山椒は小粒でぴりりと辛いと申しますか、いっそキモカワイイというべきか(笑)、本書の特色とコンセプトを、雪狼さんによる造形と友人のCOCOさんによる彩色、山田英春さんによるデザインワークが見事に体現しているように思います。

 そして、注目のビーケーワン購読特典も決定しました!
 【特典1】黒史郎さん、葦原崇貴さん、ささがにさん、夢乃鳥子さんという入選作家4名による特別書き下ろしクトゥルー神話競作集。
 【特典2】謎の邪神造形師(!?)雪狼さんへのロング・インタビュー。
 以上、豪華二大特典です(笑)。
 下記より速やかな御予約をお待ち申しあげます!



投稿者 東 雅夫 : 2008年12月19日 10:14 | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年12月18日

WEB幽リニューアルとか

 『幽』最新号が無事発売できたというのに、一向に切迫状態から解放されないのは何故だろう何故かしらん……。
 1月に『リトル・リトル・クトゥルー』(ゴージャス予約特典が決定、近日公表します!)、2月から3月にかけて〈幽クラシックス〉の新刊(コードネームは『O』)編纂校訂と、〈MF文庫ダ・ヴィンチ〉の怪談文芸競作集(コードネームは『N』)編纂、それに中断していた『怪談文芸ハンドブック(仮)』の書き下ろし刊行……と、考えてみたら来年は夏前どころか春先から出版予定がみっしりなのであった。その後もポプラ社さんとか角川学芸さんとか筑摩書房さんとか国書刊行会さんとか学研さんとか黒田藩プレスさんとか…………い、今は、あ、あまり深く考えないことにしよう!(笑)師走だし。

 さて、そんな気ぜわしいなか、一際せかせかと準備作業に動き回っていたのが編集Y。
 『幽』最新号発売にあわせて、「WEB幽」がプチ・リニューアル。新たに「幽作家ブログ」なるものが開設されました。

 幽作家ブログ
 http://www.mf-davinci.com/yoo/index.php?option=com_content&task=blogsection&id=13&Itemid=56

 いよいよ『幽』怪談文学賞作家の皆さんによるブログ群(一部は外部リンクにより参加)が始動します。『幽』今号の書き下ろし競作でも実証された、それぞれの作家の燦めき弾ける怪しい個性が、こちらでも遺憾なく発揮されることでしょう!
 特に岡部えつさんの「常習女」過去記事は迫力(?)満点で、実に読ませます。
 また、門賀美央子さんのWEBオリジナル連載「全国神社仏閣お化けつき」も興味津々の内容です(平野名物亀饅頭が旨そう……取材に行ったときは気がつかなかったよ、とほほ)。
 ぜひとも御高覧のほど、お願い申しあげます。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月18日 13:33 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月15日

あっちゃー!

 『幽』見本誌が届くと、とにもかくにもハラハラしながらページを繰ります。
 あれほど目を皿のようにして校了したのに、何でそんなに必死になるかというと……チェック漏れやら修正ミスやらが、どうしても出てしまいがちだからなのですね。
 かつては印刷所サイドで赤字の直しをするのが普通だったわけですが、今は文字通りのDTP――編集者やデザイナーさんが自分のパソコン上で最終的な修正をして、そのまま印刷に回すケースが少なくないわけです。
 校了間際というのは、精神的にも肉体的にも疲労の限界に達している、その最中の土壇場で時間に追われながら訂正やチェック作業をするため、どうしても細かい見落としや、愕然とするような修正ミスが起こりかねない……。

 ……ってマア、総てがいいわけでしかないのですが(苦笑)。
 今回も、見つけちゃいました。
 290ページのタイトル部分。作者である黒史郎さんのお名前の表記が、
 「黒 史郎」じゃなくて「黒史 郎」になってるじゃないかあああ!
 誰だよ、黒史さんって……。

 まことに申し訳ございません。
 特に作者名にかかわる誤植というのは非常に失礼なことなので、くれぐれも気をつけるようにと常々指導しているのですが……。
 黒さん、ならびに読者諸賢に、深くお詫び申しあげます。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月15日 09:14 | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年12月14日

『幽』10号、ビーケーワンで出荷開始!

 ひとあし早く見本が届きました。
 スヰート・クリスマス・モードです(嘘)。

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 さらに、分厚くなりましたな(汗)。いや別に『メフィスト』と張り合うつもりは……さらさらないのですが(笑)。

 年2回刊行で10号ということは、まる5年――アッという間に過ぎたなー、と呆然とする一方、こと文藝の分野においては、やはり種子を蒔いてから発芽するまでには、これくらいの期間が必要なのだよなあ……と、今号のラインナップを眺めながら、しみじみ実感しました。

 第1回『幽』怪談文学賞受賞の黒史郎、宇佐美まこと、水沫流人の各氏。
 同第2回受賞の雀野日名子、長島槇子、勝山海百合の各氏。
 同第3回受賞の岡部えつ氏。
 そして〈てのひら怪談〉経由で第15回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した田辺青蛙氏。

 『幽』を中核とする怪談文藝の圏内から飛び出した精鋭諸氏が、斯界の大家に混じって、それぞれに覇気を感じさせる新作を寄稿している様は(手前味噌で恐縮ですが)なかなかの壮観だろうと思います。
 特に第三特集「怪しき我が家」の黒、宇佐美、雀野三氏によるテーマ短篇競作は、どれも個性的で甲乙つけがたい、実力伯仲の力作揃いとなりました。
 また第一特集「怪談マニア龍之介」における「競作!『椒図志異』の世界」は、若き日の芥川龍之介が蒐集・筆録した怪談実話群を素材に、水沫、長島、勝山の各氏が、加門七海・波津彬子の両ベテランと共に新作掌篇を書き下ろす……という、あたかも大正と平成の怪談黄金時代が互(かたみ)に響き交わすかのごとき贅沢な試みです。

 怪談文藝のさまざまな魅力と可能性を体感できる号になったのではないかな、という手応えを感じております。ぜひとも御高覧のほどを!



▲いま御注文いただければ24時間以内に出荷中! すぐ読めます。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月14日 05:51 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月12日

ひと足はやい……

 月兎社さんから、ひと足はやいクリスマス・プレゼントが到着!
 ……って、自分で注文して購入したのですが(笑)。

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▲手前右が作品集本体、左が外函裏のラビットファー、
上は附録についてくるポスター。陶然。

 別冊幻想文学の『種村季弘スペシャル』装画でお世話になったこともある、勝本みつるさんの新作オブジェ作品集『緑色の研究』の限定特装本です。

 根っから緑フェチの小生としては、タイトル・コンセプトだけでもう、びびびびびんと電流が走り抜けたわけですが、この特装版はなんとまあ、清楚にして堅牢な外函の裏側に、深い色合いの緑一色に染められたラビット・ファー(他に、まりも、みつあみバージョンもあり!)が敷き詰められているという危険極まりない仕様にて、もう一見するなり矢も楯もたまらず発注してしまった次第です。

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▲フィギュアを載せて、
緑の草原ごっこもできます。

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 此処ではない何処かへの誘いを象徴するかのような「緑」たちが、ときに愉しげに、ときに謎めいて跳梁する小宇宙を封じ込めた作品集の詳細、ならびに特装本の注文方法については、月兎社さんの下記サイトを参照。
 http://calico5.exblog.jp/

 聖夜の机辺に、おひとつ、いかがでしょう。
 ラヴクラフトの断章「緑の草原」、あるいは〈てのひら怪談〉の君島慧是さんの作品がお好きな方なら、必ずやお気に召すことと思います。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月12日 16:02 | コメント (0) | トラックバック (0)

暮れの元気な……

 今年もまた、角川書店さんから荷物が到着。

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 もちろんお歳暮などではなく、ホラー大賞一次の箱です。今年は短篇だけ先に先月末に届き、今週はじめに長篇の箱が届いたという次第。

 今年度はかつてない大豊作だっただけに、来年度への期待も高まりますな。
 年末年始にせっせと読む予定、愉しみです。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月12日 11:37 | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年12月11日

夜の音楽

 先日御紹介した愛聴盤の記事が、なぜだか妙に反響がありまして、侘助さんと深川拓さんから早速コメントをいただいたり、オフラインでもその話題を振ってくださる方がいたりして歓んでおります。
 深川さん曰く「これにチャーリー・ヘイデンとのデュオ盤が入っていたら、私の好みともろに被ってしまうんですが」とのことですが、それって、コレ ↓ ですよね!?


 もちろん、擦り切れるほど(ってCDだから有り得んが)聴きましたとも!(笑)
 ヘイデンはこちら ↓ から入って以来、気に入って色々聴いています。


 メセニーでは、コレ ↓ も頻繁にかけてますな。


 あとジム・ホールおじさんとビル・エヴァンスのコレ ↓ も、御多分に漏れず随分と聴き込みました。


 深夜から早朝にかけて、仕事しながら流していることが多いので、どうしても「夜の音楽」という感じの選曲になってしまうのですよね。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月11日 03:32 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月10日

クトゥルー通信(12/09)

 先日到着した『リトル・リトル・クトゥルー』の仮ゲラを傍らに置いて、「はじめに」と「編者解説」の原稿を書きあげる。なんと締切前日ではないか! やれば出来るじゃん、オレ(笑)。

 ちなみに著者の皆さまに担当編集者がお願いしていたプロフィール執筆の件ですが、まだ5名ほど原稿が到着していない方があるとのことです。
 なんとしても1月発売のセンは死守したいと思いますので(自分の受け持ち仕事が総て終了したので強気である)、お早めにお送りくださいますよう、担当に成り代わりまして(……)、お願い申しあげます。
 なお、万一にも「プロフィールってナンのことよ!?」という方がいたら、速やかに学研エソテリカ編集部か、当ブログのコメント欄に御連絡を!

 ところで今回の単行本、装幀は『クトゥルー神話事典・第三版』や〈文豪怪談傑作選〉でもおなじみの山田英春さんにお願いしているのだが、装画というか造形物?に、とっておきの隠し球を用意している。
 かれこれ一年近く前になると思うが、クトゥルー関連でネット検索している最中に偶然目にとめ、もうひとめ惚れして(笑)、『リトル・リトル・クトゥルー』を作るなら、装画はこの人しかいない!……と確信。
 その後、打ち合わせの際に、某M編集長におずおずと進言したら幸いとても気に入っていただき、学研さんを通じて連絡をとったところ、御本人にも快諾をいただけたという次第。
 山下昇平画伯によるビザールなクトゥルー関連造形も無論のことサイコーなのだが、こちらはまた、それとは対極に位置するような(!?)別種の魅力を湛えているのであるよ。

 おそらく近日中に詳細をお披露目できるかと思いますので、どうか愉しみにお待ちくださいませ。



▲購入特典付きで予約受付中です!

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月10日 02:42 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月08日

『ダ・ヴィンチ』最新号も発売中



 こちらはおなじみの『ダ・ヴィンチ』新年号、恒例の「BOOK OF THE YEAR 2008」に、今年も登板しております。

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 今年の怪談文芸方面は、なんといっても『幽』関連の新刊がドーンと席巻したわけですが、さすがに当の『ダ・ヴィンチ』誌上で、自分が何らかの形で関与している『深泥丘奇談』や『幽談』や『竜岩石とただならぬ娘』を取りあげるのも手前味噌すぎる気がして、全くタッチしていない水沫流人『マリオのUFO』をチョイスしてみました。この本はもっと読まれてよい、広く知られるべき作品だと思います。
 残る2冊は何か、そしていかなるコメントが……ぜひ現物にて、お確かめください!(笑)








 また「怪談通信」では、『幽』怪談文学賞の速報と最新号の内容一覧、それに恒川光太郎さんの注目新刊『草祭』をめぐるインタビュー記事が掲載されております。こちらも要注目を!

 ちなみに恒川さんには、近く詳細を発表予定の怪談文芸競作集にも、素敵な新作を書き下ろしていただきました。これまた愉しみにお待ちください。



投稿者 東 雅夫 : 2008年12月08日 17:26 | コメント (0) | トラックバック (0)

『奇談』最新号が到着

 「ニュースの裏側に蠢く『奇っ怪ミステリー』追究マガジン」と銘打たれた『奇談』(週刊大衆ミステリー増刊)の最新号が届きました。

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 小生は「にっぽん妖怪ファイル」特集の「妖怪を知るための10冊」をセレクト&執筆しております。
 タイトルにトンデモない肩書きがついていて狼狽えましたが(笑)、『妖怪伝説奇聞』をご覧になっての依頼だったので、ならば、マアそんなものかな、と。たしかに「アンソロジスト」や「文芸評論家」や「『幽』編集長」だと、妖怪そのものとは関係が薄いしなー。

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 実は上記以上に驚いたことが2点。
 その1は、「奇想作家の横顔」というロング・インタビューに御登場の菊地秀行さんによる下記の言及。

 「話は飛びますが、ホラー評論家の東雅夫さんは、西洋の吸血鬼小説の源流は日本の“怪猫モノ”という説を唱えています。」

 一瞬、「えっ、お、俺、そんなだいそれたこと唱えたっけ……!?」と狼狽えたのですが、確かにかつて『怪猫鬼談』の解説で、レ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」に、「Vampire Cat」と題された日本の怪猫伝説の紹介が影響を与えた可能性を指摘していたのですな。
 菊地さんには同書に推薦文を頂戴したのですが、そんなことまで御記憶いただいていたとは、と感激ひとしおでありました。

 びっくりしたこと、その2は下記の記事。

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 この場所と建物は、行きつけのファミレスへの往還にいつも通っている通り沿いにあったのでした。記事にもあるとおり、数年前に火事で半焼し、その後、取り壊されて、今は殺風景な駐車場に変じてしまいましたが……。ちゃんと探訪しておくべきでしたな。






投稿者 東 雅夫 : 2008年12月08日 16:43 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月07日

「東雅夫のイチオシ棚」更新

ビーケーワンの辻です。
「東雅夫のイチオシ棚」 更新しました。
『幽 第10号』予約開始しました。今号は芥川龍之介を特集します。購入者特典もあり!
話題の『リトル・リトル・クトゥルー』もついに予約開始しました。
マンガがお好きな方は『コミック怪 Vol.05』をどうそ。
SFの巨匠グレッグ・イーガンの傑作『TAP』入荷しました。



『リトル・リトル・クトゥルー』







投稿者 coolmint : 2008年12月07日 14:30 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月05日

今度の『幽』は、こんな顔!

 お待たせいたしました。『幽』第10号の表紙が、堂々完成であります。

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 芥川龍之介特集にちなんで――

 落葉焚いて葉守りの神を見し夜かな

 龍之介が尋常小学校4年のときに作ったという俳句のイメージでまとめてみました。
 ……というのは冗談で、MOTOKOさんが撮りためていたストックの中から、祖父江さんに選んでいただいたのですが、ひと目みた瞬間、上記の句を連想して、その符合ぶりに驚いた次第です。

 ちなみに龍之介の句は、「わが俳諧修業」というエッセイの次の一節に言及されているものです。

 小学校時代。――尋常四年の時に始めて十七字を並べて見る。「落葉焚いて葉守りの神を見し夜かな」。鏡花の小説など読みゐたれば、その羅曼(ロマン)主義を学びたるなるべし。

 小学校4年で鏡花を愛読していたとは……さすがに早熟の天才ですなあ(笑)。



▲『幽』最新号の予約を開始しました!
もちろん今回も購読特典付きですよ。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月05日 15:13 | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年12月04日

吉祥寺で打ち合わせ

 連日の中央線遠征。たまたま、なんですが。
 キッシー、編集Rとともに、吉祥寺駅前の喫茶店で、第3回『幽』怪談文学賞短篇部門大賞を受賞された岡部えつさんと初顔合わせ。


 すでに文庫版『てのひら怪談』に「白壁」「折り指」を発表されている岡部さんだが、怪談を書くようになったのは、この幻妖ブックブログをご覧になったのがきっかけとか。
 それ以前には、故・安原顕さんの小説講座に通ったりもされていたそうで、商用ウェブサイトの制作を生業にするかたわら、各種の文学賞に応募され、今回の栄冠に至る。
 受賞作「枯骨の恋」は、かなーり実体験にもとづく話とのことで、思わず「ほほう!」と声をそろえた一同であった(笑)。

 5月に予定されている授賞式に合わせてデビュー短篇集を刊行すべく、これから大車輪で新作を書き下ろしてもらうことになるのだが、「今がんばらなくて、いつがんばるのか、という気持ちで、死に物狂いで書きます!」という頼もしい言葉が返ってきた。
 まずは、12月15日発売の『幽』に掲載される「枯骨の恋」に、御注目を!

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▲中野ブロードウェイにちょっと寄り道して見つけた昔の怪獣絵葉書。
動物園を急襲するラドンといい、ギャンゴの賀春といい、実に好い味わいではなかろうか。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月04日 12:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月02日

西荻で打ち合わせ

 夕刻より斉藤さん@ポプラ社と、西荻某処にて打ち合わせ。べつにブックマークとは関係ありませんが(笑)。
 「そういえば直に顔を合わせるのは京都イベント以来ですよねー、なはははは」
 ……と互いに遠い目になる。忙しいのは何より!

 先日発売された〈江戸川乱歩・少年探偵〉シリーズは、とても好調の由。好いことだ。
 ちなみに今回の文庫シリーズ、近年の刊本では改変されていた諸々の表現が、原型に復されていることにお気づきだろうか?
 やはり発表当時の表現を尊重するのが文芸本来のありかた。編集部の好判断に拍手をおくりたい。


 本日の案件は、文庫版『てのひら怪談』シリーズの今後の展開について。および、前々から懸案になっていたアンソロジスト・モードでの別企画を、そろそろ具体化しましょうか、という打ち合わせ。
 てのひら怪談については、やはり来夏の発売となりました。
 その前にひとつ、ちょいとした隠し球を用意しますので、御期待ください。

 打ち合わせを終えて、いろいろ情報交換などしていたら……なんと終電目前ではないか!
 降り出した雨の中を駅へ急ぐ。

投稿者 東 雅夫 : 2008年12月02日 12:02 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月01日

【イベント告知その2】西荻超短篇イベント

 えーこちらも烈しくデジャヴュ感ただようのですが(笑)、昨夏「西荻てのひら怪談」イベントを開催していただいた西荻ブックマークさんで、今度は下記のイベントが計画されています。

第28回西荻ブックマーク「超短編の世界」

【日時】2008年12月14日(日)17:00―19:00(開場16:30)
【会場】東京都杉並区西荻南 こけし屋別館2階
 [地図]  http://www.kokeshiya.com/
【定員】100人 【料金】1,500円 (当日受付にてお支払い)

第1部 佐藤弓生(ゲスト)と超短編とのトークショー(45分)
 【進行】松本楽志/タカスギシンタロ
第2部 超短編作家ほかによる朗読会(60分)
 【朗読】迫水由季(cafe凛堂)
 ※公募した山下昇平作製のオブジェ超短編作品受賞作の発表と朗読。
【主催】西荻ブックマーク
    http://s1.shard.jp/nishiogi/nbm2.htm
    (担当)添田、小野塚
【予約方法】下記のメールフォーマットに必要事項を記入して、予約してください。第28回のイベントです。
 http://cinamon.candybox.to/k-toro/postmail/postmail.php

 詳しくは、上記の「西荻ブックマーク」公式サイトを御参照のうえ、ふるっての御参加を。
 小生もスケジュールの都合がつけば、覗きに行きたいと思っています。



投稿者 東 雅夫 : 2008年12月01日 08:53 | コメント (0) | トラックバック (0)

【イベント告知その1】中井英夫をめぐる対話

 先ごろ発売された『夜想 特集・ヴィクトリアン』の連携企画として、来る12月5日により柳橋の夜想ギャラリー(正式名称はパラボリカ・ビス)にて、建石修志さんの展覧会が、下記のとおり開催されます。

夜想ヴィクトリアン展 パート2
建石修志展「表層の浮かぶ夢」

【会期】2008年12月5日[金]―12月28日[日]
 月―金/13時―20時 土日祝/12時―19時 水曜定休 入場料500円
【展覧会会場】parabolica bis[パラボリカ・ビス]
 東京都台東区柳橋2・18・11 TEL: 03-5835-1180
 ※詳細は下記サイトを参照!
 http://www.yaso-peyotl.com/archives/2008/11/2_3.html

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 で。その併催イベントとしまして、小生と『夜想』の今野裕一編集長によるトークショーが、同ギャラリーにて下記のとおり開催されます。

トークショー「中井英夫の魅力を語る」
とことん語ります。
東雅夫 v.s. 今野裕一

【日時】2008年12月21日[日]17時開演
【料金】1500円(展覧会入場料込)

 と、「とことん語ります」って……(汗)。
 当日は建石さんも、客席から(笑)参加される模様です。
 建石さんには『幻想文学』の表紙装画を、一部の号を除いて創刊から終刊まで一貫して御担当いただくなど、ひとかたならぬ御高配を賜りました。
 そして、建石さんと本誌との関わりを振りかえるとき、たいそう重要な位置を占めていたのが、故・中井英夫さんの存在です。
 世にいう「シブサワ・サークル」のように顕在化こそしていなかったものの、中井英夫をめぐる人々の環もまた、1970年代から80年代にかけての幻想文学・美術シーンに多大な影響を及ぼしていたと申せましょう。
 『夜想』も、そして『幻想文学』も、その大渦の中から世に出た雑誌だったと、今にして思うわけです。

 小生なんぞが、当時のことを語るのに適任であるとは到底思えないのですが、考えてみれば、中井さんとの出会いなくして建石さんとの出会いも、『幻想文学』の創刊もなかったかもしれず、そうとすれば『幽』とか『てのひら怪談』もこの世に存在していなかったかもしれないわけで(笑)、まあ、色々な意味で原点であるわけですね。
 そんなこんなを、『幻想文学』の兄貴分であり、アート方面にお詳しい『夜想』の今野編集長と語り合ってみたいなと思っています。
 歳末の慌ただしい折ではありますが、御関心のある向きは是非お運びくださいませ。
 ……って、去年も似たようなことを書いてなかったか!?(笑)









投稿者 東 雅夫 : 2008年12月01日 08:48 | コメント (1) | トラックバック (0)