『ハルビンの猫』/しらみず さだこ
これは、中国人留学生のKさんから聞いた、彼の故郷ハルビンの村で10年ほど前に起きたお話です。
Kさんが住んでいた村の隣村で、あるおばあさんが亡くなったときのことです。Kさんによると、お葬式をするときは、広い中国各地から集まる出席者がすぐにはそろわないので、3日間から7日間ほど埋葬しないで待つそうです。このおばあさんのときも同じく、まだ来ていない人があったので待っていました。
3日目の夜のことです。夜通し棺の番をしていた人が、嫌な光景を見たと言いました。棺に猫が1匹のっていて、まるで踊っているかのように何度も上を往復していたそうなのです。
朝になって棺をのぞいてみると、中はからっぽになっていました。遺体が消えたと村中が大騒ぎになり、警察も一緒に捜しましたが見つかりません。
一週間ほどして、村人のひとりが近くの山の中で横たわっているおばあさんを見つけました。近づいてみると、おばあさんは息をしていました。驚いた村人があわてておばあさんを連れ帰ると、村の騒ぎはさらに大きくなりました。そして村に戻って来たおばあさんは、若者のように元気になって、また暮らし始めました。
しかしそれから1ヶ月後に亡くなり、今度はもう生き返ることはありませんでした。
このあたりでは、猫は9つ命を持っていると言うそうで、村人の中には「棺の上にいた猫が、亡くなったおばあさんに息を吹きかけて、命を与えて生きかえらせたのではないか」と噂する者もいたということです。
投稿者:takazawa 2009年07月21日 10時56分
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